ここから本文です

新作「ターミネーター」初期2作に連なる興奮の連続

11/9(土) 13:00配信

日刊スポーツ

シリーズ3作目以降の「ターミネーター」には正直物足りなさを感じていた。第1作のインパクト。そして、悪役だったアンドロイドT-800(アーノルドシュワルツェネッガー)が一転正義の味方となり、戦闘能力に勝る新型T-1000と死闘を繰り広げた第2作の迫力には遠く及ばなかったからである。

創始者のジェームズ・キャメロンが28年ぶりに直接製作に関わった新作「-ニュー・フェイト」(8日公開)には、この初期2作に連なる興奮がある。キャメロンが「第2作の正統な続編」と言い切るだけのことはある。

「機械軍」からは新型REVー9が登場する。T-1000同様の変形、擬態に加え、2体に分離する能力まで備えている。人間側もハイスペックなスーパー・ソルジャーを未来から送り込み、女性戦士サラ・コナーとT-1000のコンビとともにすさまじい戦いを繰り広げる。

興趣をそがないためにストーリーの詳述は避けるが、未来と今を行き来する展開は複雑なので、鑑賞の手引きとして、シリーズの時間軸を少し整理しておきたい。1、2作と今作に共通するのは、それぞれの公開年の時代を主舞台に未来からアンドロイドとこれに対抗する「戦士」が送り込まれるという設定。3作通じてリンダ・ハミルトンが実年齢そのままにヒロイン・サラを演じ、彼女個人の「年代記」と言えるかもしれない。

第1作の舞台は公開年と同じ84年5月のロサンゼルス。大学生のサラは、「近未来」から「時間転送機」で送り込まれたアンドロイドT-800に突然襲われる。

「未来史」では、13年後の97年8月29日、人工知能スカイネットの暴走によって核戦争が発生。この「審判の日」を境に始まった機械軍と人類の戦いは2029年、救世主ジョン・コナーの登場で人類優勢となる。彼を生むのがサラで、出産前に彼女をなきものにしようと機械軍がT-800を「派遣」したのだった。

暗殺計画を知った未来のコナーは、サラの元に機械軍と同じ方法で戦闘員カイルを送り込む。危機連発の中でサラとカイルは恋仲となり、彼がコナーの父親となるパラドックスも絡めながら、死闘の末にT-800は破壊される。カイルは戦闘中に絶命するが、コナーを身ごもったサラはメキシコに旅立ち、未来を変え、「審判の日」を回避するための戦いを始める。

ここまでが第1作。2作は11年後の94年に時代を進める。コナーはいたずらっ子盛り。サラは「戦士」に成長している。演じるリンダは訓練を重ねて肉体改造。スカイネット開発阻止のためならテロ行為もいとわない「筋肉質のシングル・マザー」に説得力があった。未来からはコナー暗殺のため、新型T-1000が送り込まれる。2人を救ったのは、未来のコナーが人類の味方をするように改造したあのT-800だった。

文字通りもろ刃の剣のこの役をシュワルツェネッガー自身は「悪役トップ10に入るが、ヒーロー・トップ10にも入る特異なキャラクター」という。

サラとT-800のコンビは、T-1000の攻撃をかわしながらスカイネットの開発会社を破壊。最後はT-800が自らの体に残ったスカイネットの「芽」を断つために、T-1000を道連れに溶鉱炉に沈む。核戦争は回避されたはずだった…とここまでが第2作だ。

サラがすでに死んでいる設定の第3作(04年)、審判の日後の未来を舞台にサラはビデオ・メッセージでの登場となった第4作(09年)はここでは省き、キャメロン構想通りに新作「ニュー・フェイト」へ続ける。

舞台は第2作から25年後の現代。老齢に差し掛かったサラを今回もリンダがリアルに演じる。それなりの年輪は感じさせるが、25年前の筋肉質は驚くほど維持されている。スーパー・ソルジャーを演じるマッケンジー・デイヴィスといい、とにかく今回は女性ばかりがかっこいい。

審判の日は阻止されたはずなのに、今作でもなぜかサラはターミネーター狩りを続けている。スカイネットはその芽をつまれたはずなのに、なぜか未来からは新型REV-9がやってくる。どうやら未来にはスカイネットに代わって「リージョン」と呼ばれる人工知能が支配しているようだ。レジスタンスを続ける人類が新たに送り込んだスーパー・ソルジャーが守ろうとするのはダニー・ラモス(ナタリア・レイエス)というメキシコ系の女性だ。彼女の正体は? そしてまたまた登場するTー800はどちらの味方なのか?

序盤からさまざまな疑問に答えを出しながら、ジェットコースターのように物語は進行する。「デッド・プール」のティム・ミラー監督はキャメロンのイメージをしっかり踏まえながら「正統3部作」に決着をつけている。【相原斎】

最終更新:11/10(日) 17:16
日刊スポーツ

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事