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【漢字トリビア】「豊」の成り立ち物語

11/10(日) 11:13配信

TOKYO FM+

「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今日の漢字は「豊か」、「豊作」「五穀豊穣」の「豊(ホウ)」。(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」2019年11月9日(土)放送より)

「豊か」という漢字は「曲がる」という字の下に「豆」と書きます。「豆」は、高坏(たかつき)と呼ばれる長い脚のついた食器の形で、祭祀や儀礼の際に供える食物を乗せて使います。

「曲がる」という字は、キビ(黍)がたくさん束ねられた姿。キビは古くからあるイネ科の植物で、「五穀」のひとつとして大切にされてきた穀物です。「豊か」という字のもととなった旧字体(豐)には、ふさふさと実ったキビの穂が描かれているのがわかります。

つまり「豊か」という字が示しているのは、脚のついた器に、実をつけた穀物がたくさん乗せられた様子。そこから「おおい、ゆたか、さかん」という意味をもつようになりました。

ではここで、「豊か」という字をあらためて感じてみてください。

季節外れの寒さや過酷な夏、日照りや台風。自然の猛威と闘いながら、手間をいとわず世話をして、祈るように迎えたよろこびのとき。器からこぼれそうなほど立派に実った穀物は、いにしえの人々にとって、確かな幸福の象徴でした。

初物を神前に供えて五穀豊穣を祈るその姿は、時を超え、今に受け継がれています。豊富な食材が並ぶ、温かな食卓のありがたさ。いつにも増して、今年は深く、身に染みます。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。その想いを受けとって、感じてみたら……。ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献 『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)、『読んでわかる俳句 日本の歳時記 冬・新年』(小学館)

(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」11月9日(土)放送より)

最終更新:11/10(日) 11:13
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