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スマホがなかった時代へと回帰する、アメリカ育児 ”ローテク化” の今

11/10(日) 17:02配信

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Appleの初代iPhone発売から12年、今や我々の生活に完全に根付いたスマホは現代の生活スタイルを激変させた。また、その登場により育児の方法や子どもとの過ごし方も大きく変わったといっても過言ではないだろう。

実は今アメリカでは、スマホが登場する以前の教育方法に回帰しようとする動きがみられる。

ビル・ゲイツ氏は、娘のビデオゲーム時間を制限するとともに14歳になるまでスマホを与えなかったといわれている。故スティーブ・ジョブズ氏も子どもたちのテクノロジー利用を制限していたといわれているし、アップルCEOのティム・クック氏は自身には子どもはいないが、姪のSNS利用には反対の意を唱えているという話も有名だ。

Silicon Valley Community Foundationが2017年に行った調査によると、同エリアの907人の保護者がテクノロジーの利点を認めつつも、子どもには与えたくないと回答した。

有名テック企業のエグゼクティブや多くのシリコンバレー業界人たちが子どもたちのスクリーンタイムを制限し始めたのが数年前。この流れは一般家庭にも波及し、現在アメリカでは育児からスクリーンを排除しようとする親が増えているという。

しかしスマホなしの教育に戻すのは、親と子の双方にとって決して容易ではない。そこでアメリカでは、子どもにスクリーンに距離を置かせるための、様々なビジネスが生まれている。

布とボールがあればOK。昔ながらの遊びを伝授する高額レッスン

シカゴで「育児コーチ」として活動するCara Pollard氏は、彼女のもとに届く相談の多くが「昼間スマホなしだと子どもと何をして過ごせばよいかわからない」というものだという。

彼らの子ども時代にはスマホがなかったのにも関わらず、自分自身が昔どのように過ごしてきたのか忘れてしまったのだ。そんな相談者にはお絵かきや一緒に月を見るなど、スクリーンに頼らず親子で楽しい時間を過ごす方法をレクチャーしている。

このように、子どものテック利用に関するアドバイスをするコーチが今、アメリカで増えている。シアトルベースのGloria DeGaetano氏も、スクリーン・オフ教育を広めようと活動しているコーチの一人だ。

彼女の主宰するParent Coaching Instituteには500人以上のコーチが在籍し、通常8~12回のセッションのトレーニングプログラムが行われる。プログラムの価格は小さな町では80USドル(約8600円)/時間、大都市だと一時間あたり125USドル(13500円)~250USドル(27000円)となかなか高額だが、彼女流の教育メソッドを取り入れようとプログラムを受講する親は後が絶えない。

またオハイオ州で活動するコーチRhonda Moskowitz氏は児童教育を学び、行動障害を30年以上に渡り研究してきた。彼女曰く、ボールやマントとして使えそうな大きな布があれば十分多くの楽しい遊びが可能だと力説する。

「メカやテクノロジーに囲まれた生活で見失いそうになるが、私たちは機械ではありません。現代は子供を育てるのに適した環境とは言えない」と彼女はNew York Timesに対して語る。

さらに2000年に発足し、年々盛り上がりを見せているのがスクリーン・フリー週間を提唱する「Screen-Free Week」だ。2019年は4月29日~5月5日の間に行われ、アメリカだけに留まらず欧州各地で開催された。その期間中は、ボードゲームやアウトドアのアクティビティなどを通して多くの家族がその絆を深めたという。

オハイオ州で活動する、元スクールカウンセラーの育児コーチRichard Halpern氏も、スマホ問題は現代の親が一番頭を悩ませている問題だと断言する。彼が推奨するのは犬や猫などのペットを飼うことだといい、New York Timesに対して「ペットは子供たちのよい遊び相手になり、同時に命の大切さも教えてくれる」と語る。

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最終更新:11/10(日) 17:02
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