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ケニアのバラを届ける萩生田愛さんが伝える 対等な関係性が作り出す本当のサポート

11/10(日) 8:01配信

TOKYO HEADLINE WEB

 “~になりたい”――。女性が思う“Be”の部分にフォーカスを当て、さまざまな立場の女性ゲストを招き、仕事や育児、ライフスタイルなどについてクロストークを展開するTBSラジオの新番組「Be Style(ビースタイル)」。Nagatacho GRiD[永田町グリッド]にて公開収録された今回の放送は、MCを務める菊池亜希子さんとともに、アフリカ薔薇専門店「AFRIKA ROSE」を手掛ける株式会社Asante代表取締役・萩生田愛さんが登場。アフリカ・ケニアへの渡航を決意した背景、アフリカへの支援・援助の実情、そしてケニアのバラが築く関係性について、言葉を紡いだ。

「花が枯れてしまうときって、自分の心に余裕がないとき」

 「ケニアのバラは、2週間ほど長持ちし、冬場ともなれば1か月、2か月持つこともあります。茎はアスパラガスのように太くて丈夫。 りんも大きくて、日本で見かけるバラの1.2~1.5倍ぐらいの大きさがあります。サバンナの夕日のように輝くオレンジのグラデーション、ピンクと淡いグリーンのグラデーション、マーブル柄など個性的なカラーが多いことも特徴です」

 花びらにエネルギーが詰まっているような存在感。アフリカ薔薇専門店「AFRIKA ROSE」を展開する萩生田愛さんは、そうケニアのバラの魅力を語る。

 日本に流通しているバラの約8割は国内産。残り2割が外国産となり、ケニア産ともなればごくわずか。長時間をかけてケニアから届く、生命力溢れるバラに魅せられる人は後を絶たず、今では広尾、六本木ヒルズにお店を構えるまでの人気店へと成長している。だが、「お花屋さんを手掛けることになるなんて夢にも思っていませんでした」と、萩生田さんは笑う。

 「アメリカの大学を卒業後、新卒で日本の大手製薬会社に就職しました。大学時代、世界の環境問題や貧困問題について議論する機会があり、以来、グローバルな問題に取り組むことができればと考えるようになりました。製薬会社を選んだのは、薬を通して人の命に貢献したいという思いがあったからでした」

 約7年間、OLとして勤務するも、29歳のとき離職。「日々の仕事も楽しかったし、成長も実感していたのですが、アフリカに行って何かをしてみたいという気持ちが抑えられなくなって」。学生時代に、オーストラリア、ブラジル、スペインなどに滞在した経験を持っていた萩生田さんにとって、アフリカは“いつか行ってみたい”、念願の場所だった。

 「大学時代に、世界には1日1ドルで暮らしている人がたくさんいる――特にアフリカにたくさんいることを知り、国際社会が援助や寄付をしている背景に大きな関心がありました。同時に、そういった支援が本当に現地の人たちの役に立っているのか?  いつか自分の目で確かめてみたいという思いがあったんですね」

 勤めていた製薬会社が WHOと提携し、アフリカへ薬を無償提供するプロジェクトがスタートしたことを機に、彼女は安定した生活を手放し、単身でアフリカ・ケニアへ、ボランティアをするために渡航を決意する。

 「ケニアでは、農村部の教室建設を手伝うNGOの一員として、教室の作り方や、現地のお母さんたちに教育の意義などを伝えていく仕事をしていました」

 実際に訪れたケニアは、萩生田さんにとって衝撃だった。

 「教室を建設しても、学校に通えない子が多かったんですね。家計を助けるために、目の前に学校があるのに通えない。首都・ナイロビから3時間ほど郊外へ離れると、電気もなければ、裸足で生活しているような人がたくさんいる。教室を作れば解決するという話ではありませんでした」

 さらに、「援助慣れしている姿勢」も疑問符が浮かんだという。

 「ある村の小学校の校長先生にお会いした歳、 “Welcome! How can i help you?」と言われて。たくさんのNGO が来ては去り、そういった状況が繰り返されていく中で、「NGO が来たから、また何かしてくれるはず。協力すれば、自分たちにメリットがある」という雰囲気が漂っていました。何かの役に立ちたいと思ってアフリカへ来たものの、長期的に考えると、本当に彼らのためになっているのか……ハンマーで頭を殴られたような衝撃を受けました」


 自信が揺らぎ始めたとき、ナイロビ市内で簡素な花屋と出会う。目に飛び込んできたのは、今まで見にしたことがないようなバラだった。生け花(華道)の草月流師範の免許を持っていた彼女は、「あまりにキラキラしていて、生命力に圧倒されてしまった」と胸中を振り返る。

 「フローリストに確認すると、ケニアはバラの生産大国なんだ、と誇らしげに話すんですね。「働くってこういうことだ」って思いました。支援ではなく、ビジネスとして関係性を築くことができれば、このフローリストのような人が増えるのではないかって。日本に広め、ケニアのバラを見て喜ぶ人が増えれば、雇用が増えたり、子どもたちが安心して学校に通ったりすることができるのはないかと、考えるようになりました」

 バラの花言葉は、「愛」。だけど、アフリカローズに象徴させるサバンナの夕日のような鮮やかなオレンジのバラの花言葉は、「絆」、「信頼」。本当のパートナーシップを築くため、萩生田さんはケニアのバラを日本で流通させるべく奔走し始める。

 「何もない状況からのスタートでしたから、手あたり次第に調べていくという状況です。あるとき、“ケニア産大特価”というような形でケニアのバラが売られていました。でも、私が現地で見たものとはまるで別物。アフリカだから安かろう悪かろうみたいな感じが許せなかった!(笑)  「ケニアのバラは本当はもっと素晴らしいのに!」、そういった憤りも原動力になりましたね」

 また、原産地ケニアのバラ農園にもこだわりがあったと明かす。以下の三つは、どうしても譲れなかった。

 「“子どもを働かせていないこと”、“(マスクやグローブを着用するなど)環境に配慮された労働環境であること”、“過酷な重労働になっていないこと”、この三つを守ってくれる農園さん。対等な関係を築きたかった」

 はじめてケニアからバラが届いた日のことは、今でも忘れられない。

 「本当にアフリカから届くのか、ドキドキしながら空港に向かいました。段ボールが届いて、500本のバラを確認したときは……感動しました。でも、人間と同じように長時間のフライトに疲れてしまったのか、花が疲れていて。不安に感じていたのですが、自宅に持ち帰って水揚げしてみると、2~ 3時間後にはピンピンによみがえり、葉っぱが水を吸っている音が聞こえるくらい元気を取り戻していく(笑)。ケニアのバラの生命力の強さを再認識しました。その日は、今でも昨日のことのように覚えています」

 ケニアのバラの魅力を、まさしく“草の根”で広めていき、徐々にファンを拡大。広尾にオープンした一号店は、クラウドファンディングで資金を集めた。内装も、アフリカローズファンのお客さんと一緒に作った。ケニアのバラは、信頼を作り続けている。

 「バラの輸入を始めて、来年で8年目になります。単なる支援・援助ではなく、雇用を作るなどの効果をもたらすことができているか、ということは常に意識しています。先日も、ケニアに足を運び、実情を見てきました。おかげさまで、コーヒーや紅茶といった産業に比べると収入も高く 、農園の食堂では会社から無料でランチを提供する、敷地内にある24時間のクリニックを無償で受診できるなど、この数年で大きく変わってきていると感じます。

 一方で、トイレが整備されていなかったり、子どもたちへのサポートが十分ではなかったり、まだまだいろいろなサポートが必要と痛感しました。雇用がないところへ支援をすることは怠惰を生み出す原因になりかねませんが、雇用がある場所に関しては支援をしていく。現地のモチベーションアップや生活の豊かさにつながるサポートをしていきたいです」

 萩生田さんの行動力、その源を保つ上で何が大切なのか。尋ねてみると――

 「お花の水を変えて、水切りをする5分の余裕を持つこと。花が枯れてしまうときって、自分の心に余裕がないときなんですよね。5分早く起きる、5分早く準備すると、水を取り替える余裕が生まれます。水を替える時間って、ちょうど良いパロメーターになると思います。 水切りをする5分の余裕を持つ、それが余裕のある生活につながるのかなって思います」

 花のある生活は空間だけではない、心も豊かにする。


 アクティブオーガニック「Be」presents「BeStyle」は、TBSラジオで、毎週土曜午前5時30分~6時にオンエア。また、当日の模様は、以下のYoutube「Be Style」チャンネルからも視聴可能。

最終更新:11/10(日) 8:01
TOKYO HEADLINE WEB

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