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『トイ・ストーリー4』の“大きな挑戦”とは?「スッキリ!!」よしひろまさみちが解説!

11/10(日) 11:00配信

Movie Walker

全世界を感動の渦に包み込み、第82回アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した前作から9年。おもちゃたちの新たな冒険を描き、国内興行収入100億円突破のメガヒットを記録した『トイ・ストーリー4』のMovieNEXと4K UHD MovieNEXが現在好評発売中&デジタル配信中。それを記念して、「スッキリ!!」の映画紹介コーナーや幅広い執筆活動でおなじみの映画ライター、よしひろまさみち氏が本作が作られた経緯と注目すべきポイントについて解説してくれた。

【写真を見る】ウッディとバズが新たな冒険に!完璧だった前作のラストからどんな物語が始まるのか…

■ “4”を傑作に押し上げたものとは?

まさかの続編、と公開前は言われた『トイ・ストーリー4』。それもそのはず。『トイ・ストーリー3』で、ウッディ達とアンディとの別離を描いたことで「完璧なエンディング」と絶賛されたのだから、その続きがあるとは誰もが予想していなかっただろう。だが、『トイ・ストーリー4』が公開後は、「まさか」の不安は一切払拭され、まだまだ観たくなる高評価を浴びた。

そもそも、この“4”の企画はいつ生まれたか。監督のジョシュ・クーリーは「“3”の公開直後から始まり、(1作目からのクリエイターである)ジョン・ラセターが、完成する約2年前に僕を監督に指名したんだ」と振り返る。「“トイ・ストーリー”シリーズは、ピクサー・アニメーション・スタジオ(以下ピクサー)を作り、育んだ大事なシリーズだ。もちろん、“3”のエンディングがパーフェクトだったから、続編を作ることに最初は疑問すら感じていた。それだけに監督に指名されたのは名誉なことだけど一大事でもあるんだ。でも、ピクサーには創業時から務めているクリエイターが数多くいるからね。ピート・ドクター、アンドリュー・スタントン、リー・アンクリッチなど、彼ら全員の力を結集して、この作品を作り上げたんだ。たとえば本作のプロダクション・デザイナーは、“1”でも同じ仕事をしていて、バズ・ライトイヤーを生みだした人。“トイ・ストーリー”の世界のエキスパートばかりがそろっていたんだよ。」

3作目でのラストが完璧だったことも製作陣は自覚したうえで、本作に挑んでいた。これがどれだけ大きなチャレンジだったかは想像するに易い。だが、ピクサーに務めるレジェンドたちがそれを支え、まさかの続編ですら傑作に仕立て上げたのだ。そして『トイ・ストーリー4』を傑作に押し上げたのは「その後がどうなったか不明のボー・ピープと、新キャラクターのフォーキーがいたからだ」と監督。

「物語を作るときに欠かせなかったのは、『そういえばボー・ピープは?』ということ。彼女のストーリーを完結させないことには、このシリーズを続けることはできない。それに、新キャラクターとなったフォーキーは、“3”までと同じことを繰り返さないために絶対必要だった。フォーキーは、脚本家達が集まって自分の子どもの話になったときに生まれたものなんだ。子どもはプレゼントをあげたとき、肝心のおもちゃよりも先に箱で遊び始めたりするんだよ。それで、ボニーにも自分が手作りしたおもちゃがあったらどうなんだろう、という発想が生まれた。彼らのおかげで、旧作との関係性を活かしつつ、新しいストーリーを作ることができたんだ。ちなみに本作が立ち上がったとき、社内でシークレットタイトルで呼んでいたんだけど、それが“ピープ”だったんだよ」

■ 「長編アニメーション映画におけるCG技術の30年を再確認できる」

本作で特筆すべきところはもう一つある。それは映像のクオリティ。現在、本シリーズは4K UHD版も発売されており、1995年に『トイ・ストーリー』で3DCGによる長編アニメーション映画を世界で初めて世に放ったピクサーが持つ映像技術の変遷を、最高の画質・音質で楽しめる。それらとともに本作を観ることで、長編アニメーション映画におけるCG技術の30年を再確認できるのだ。たとえば本作では冒頭の回想劇で降りしきる雨。実写の雨にしか見えないこの表現は、現在の最新技術によるものだ。だが、そこにも工夫があり、「リアル過ぎると気持ち悪く見えるし、マンガっぽくし過ぎるのも違う。そのバランスをとることが一番重要」なんだとか。

それをふまえて旧作を観ると、技術の進歩を再確認できとともに、映像は物語を語るうえではおかずにすぎないことも発見できる。というのも、シリーズが始まった当初の技術はいまと比べたらまだまだ。フォトリアルな画は非常に難しかった。だが、技術の差があるからといって、『トイ・ストーリー』が名作であることには変わりない。いいストーリーがあってこそ映像技術が生きているのだ。映像技術の進歩と、絶え間なく切磋琢磨して生まれる極上のストーリー。これによっていまのピクサーがあることを知ることができる。本作だけでは、または劇場では確認しきれなかった様々なディテールを、ご自宅で何度でも楽しんでもらいたい。

(Movie Walker・文/よしひろまさみち 構成/久保田 和馬)

最終更新:11/15(金) 18:03
Movie Walker

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