ここから本文です

リストラ数は6年ぶりに1万人超え。業績好調でも早期退職者を募集する理由

2019/11/11(月) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

構造改革と人事制度改革に伴うリストラへ

「2.人材の放出」と「3.人事制度改革」は、連動していることが多い。既存のビジネスから新規事業領域にシフトする事業構造改革を実施する場合、能力的に追いついていけない、あるいは職務の転換に消極的な人が発生する。そうした人をターゲットにリストラに踏み切るケースだ。

例えばリーマンショック以降、コンピュータなどハード機器の製造・販売からソリューション事業に転換するIT・電機メーカーが相次いだが、機器の営業や保守業務を担当する社員を中心にリストラが実施された。

ただし、当時は業績不振で構造改革を実施した企業が多かったが、近年は業績好調のときに実施する企業も増えている。例えばキリンHDもビール中心から食領域と医療部門の「医と食をつなぐ事業」を第3の柱に据える改革を実施しているが、今回のリストラもその一環といえるかもしれない。

2016年に構造改革を実施したIT企業の人事担当役員もこう語る。

「経営が好転すると経費の使い方もゆるんでしまうが、本来、組織構造改革は経営が順調なときに先を見据えて、不良部署、不良人員を精査して筋肉質の経営を維持するために改革を継続してやることが必要です。

ただし、先が見えている経営者はそんなにいませんし、また先を見越して改革する経営者は反発を招きます。社員の信頼も相当に厚く、人望のある経営者でなければ支持されません」

同社は構造改革の一環として 「3.人事制度改革」にも着手した。従来の年功型の賃金・昇進制度から職務・職責重視の職務給制度に転換した。同時にリストラも実施している。

「経営幹部の納得を得た上で職務ベースの賃金制度に変えました。従来の給与の年功的部分を廃止し、担っている職務で給与が決まり、職務を果たせなければ降格も発生する仕組みです。同時に部下を持つライン管理職コースだけではなく、社内専門家コースの2つを設けました。

若手社員からはある程度の支持を得ましたが、ライン管理職や専門家にもなれない年輩の社員は明らかに不満がくすぶっていました。給与が減ることや管理職を外されることに対する不満や反発が社内にはびこることは避けたい。それを防止するために社外への転籍や希望退職募集を実施しました」

年輩社員の不満分子が滞留すれば若手のモチベーションにも悪影響を与える。構造改革と連動した人事制度改革に伴うリストラである。「1.人員構成の適正化」「2.人材の放出」と「3.人事制度改革」──。これら3つに加えて、リストラに踏み切る新たな要因となりつつあるのが「高齢者雇用対策リストラ」である。

2/3ページ

最終更新:2019/11/11(月) 23:01
BUSINESS INSIDER JAPAN

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事