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リストラ数は6年ぶりに1万人超え。業績好調でも早期退職者を募集する理由

2019/11/11(月) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

高齢法を見据える高齢者雇用対策リストラ

政府は現在、70歳までの就業を目指した高年齢者雇用安定法(高齢法)の法改正を検討中だ。来年の通常国会に企業に努力義務を課す法案を提出し、いずれは義務化も視野に入れている。今は法定定年年齢の60歳以降は、(1)定年の引き上げ(2)定年の廃止(3)継続雇用制度の導入──のいずれかを選択することを求め、希望者全員の65歳までの雇用確保を義務づけている。政府はさらに66歳から70歳まで引き上げようとしている。

企業の約8割が、定年後の給与は半額程度とする1年契約更新の継続雇用制度を導入している。65歳までならともかく、それが70歳まで延長されると、当然人件費負担が増える。できれば避けたいと思っている企業が大半だ。

しかし、希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入を企業に義務付けている高齢法では、現役世代以上に(60歳以上65歳未満の人を)解雇することが難しい。例えば60歳以上に限定した「早期退職募集」は困難とされている。

そうであるなら40~50歳代にリストラに踏み切るほうが得策と考えても不思議ではない。前出の建設関連会社の人事部長もこう語る。

「正直言って希望者全員を60歳から70歳まで10年間も会社で面倒を見るのは、企業にとって荷が重い。その前に例えば45歳あたりから評価制度を厳格にして、55歳までの評価結果を見る。その上で、60歳以降も残す人と辞めてもらう人を見極めたいと思っています」

研修を通じて早期退職を促す企業も

実はそれに近い動きも始まっている。近年、50歳前後の社員を対象にしたキャリア開発研修を実施する企業が増えている。その目的は、65歳まで働くことを見据え、これまでの経験・技能の棚卸しと今後のキャリアどう築いていくのかを考えさせて働く意欲を高めることにある。

しかし、本気で人生後半戦も今の会社で活躍してほしいと考える企業ばかりではない。中には研修を通じて社外での活躍を促す企業もある。

しかも今、退職すれば退職割増金が多くもらえることもアピールする。企業によっては「活き活きチャレンジ制度」「セカンドキャリア実現制度」「キャリアチャレンジ制度」といった華々しい名称をつけているところもある。こうした政府の高齢者雇用対策回避のリストラを含め、2020年の企業によるリストラは、2019年以上に加速する可能性もある。

溝上憲文:人事ジャーナリスト。明治大学卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て独立。人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマに執筆。『非情の常時リストラ』で2013年度日本労働ペンクラブ賞受賞。主な著書に『隣りの成果主義』『超・学歴社会』『「いらない社員」はこう決まる』『マタニティハラスメント』『人事部はここを見ている!』『人事評価の裏ルール』など。

溝上憲文

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最終更新:2019/11/11(月) 23:01
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