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ナダルが苦手とする「室内コート」、屋外コートとの違いは?

11/11(月) 19:00配信

THE TENNIS DAILY

ラファエル・ナダル(スペイン)にとって、幾度となく優勝してきた「全仏オープン」の開催地パリが特別な場所であることは想像に難くない。しかしながら、同じパリでも室内コートで行われる「ATP1000 パリ」でナダルが優勝したことはまだ1度もない。またシーズン最後の「Nitto ATPファイナルズ」(イギリス・ロンドン/11月10日~17日/室内ハードコート)での優勝も未経験だ。

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彼がこのシーズン最後の2つの大会で優勝できていない理由の1つには、シーズン後半で疲労がピークに達してしまうということが考えられる。昨年は「ATP1000 パリ」「Nitto ATPファイナルズ」共に腹部の怪我で棄権しており、その前年も膝の怪我で「ATP1000 パリ」を準々決勝で棄権し、そのままシーズンを終了。2016年は手首の怪我で、10月の「ATP1000 上海」初戦敗退後にシーズンを終えている。

しかし、室内コートにはナダルの華麗なるプレーを妨げ、さらには他の選手にとっては有利になると言える違いが存在していることは、無視できない事実である。室内コートでは、サーブをより正確打つことができ、より攻撃的なプレーができる。だから、早い段階で仕掛けていくプレーヤーや、フラットでカウンターパンチを打つタイプのプレーヤーに有利に働くのだ。

トップスピン主体のプレーヤーであるナダルは「ATP1000 パリ」ではたった1回、「Nitto ATPファイナルズ」では2回しか決勝進出を果たしていない。一方ツアーでも屈指の好サーブの持ち主で、トップ選手の中でも最も攻撃的なテニスを持ち味とするロジャー・フェデラー(スイス)は、「Nitto ATPファイナルズ」では10回の決勝進出を果たしており、そのうち6回は優勝。究極の守備力を誇り、フラットショットを武器とするノバク・ジョコビッチ(セルビア)は7回決勝進出、うち5回優勝している。

室内コート最大の特徴は、太陽の光がなく風も吹かないことだ。これにより、サーバーはトスを自在に操ることが可能になる。サービスゲーム勝率トップのジョン・イズナー(アメリカ)のコーチであるDavid Macpherson氏は「ビッグサーバーは、室内コートでより攻撃的になることができます」と語る。

また室内コートでは、観客からの声援などの音が増強される。その騒音のせいで、選手のリアクションは遅くなるとも言われる。ダブルスのスペシャリストであるべサニー・マテック サンズ(アメリカ)は、「選手たちはすごく“音”を頼りにして、相手の打った球の速度や、ラケットのどこに当たったのかを予測しているのです」と話す。

さらにボールの弾み方にも大きな違いがある。2011年のコートの改良まで、「ATP1000 パリ」は極めて速いサーフェスだった。室内コートはすべて、数十年前に比べると遅くなったと言われているものの、今でもロンドンのO2アリーナで行われる「Nitto ATPファイナルズ」よりも「ATP1000 パリ」のサーフェスは速い。

Macpherson氏はまた、室内コートではキックサーブが効かないと話す。キックサーブはナダルが得意とする武器であり、フェデラーを始めとする多くの選手たちを苦しめてきた。Macpherson氏によれば「セカンドサーブでは、リターン側が圧倒的に有利。」屋外では、キックサーブやスピンサーブに風などの要素が加わると、思い切り打ち返すことは難しくなるからだ。

しかしビッグサーバーであるイズナーは、室内コートが必ずしも自分に有利ではないと主張。「風の影響がないことで、強打が持ち味のストローカーはクリーンなショットを打つことができる。彼らの方が室内コートの恩恵を受けていると思うよ。カウンターパンチを得意とする素早い選手たちには特に有利だね」とコメントしている。

ジョコビッチはナダルと違い、かなりフラットなショットで攻める選手だ。Macpherson氏は、フラットショットについて「多用する選手には(室内コートは)有利です。スピンだと、他のコートのような弾み方をしないですから」という見解を示している。

現在ATPツアーでは、室内コートでのトーナメントは年間16大会開催されているが、その殆どは小さい大会で、トップ選手が出場するのは稀だ。「Nitto ATPファイナルズ」と「レーバー・カップ」を除くと、ATP500クラスの室内コートでのトーナメントは3大会しかない。マスターズ1000クラスでは、「ATP1000 パリ」が唯一の室内コート大会だ。ATPのデータによると、室内コートでの勝率は、フェデラーが81.1%で、屋外コートでの勝率82.4%とほぼ変わらない。ジョコビッチは78.1%で、屋外コートでの勝率83.6%よりも若干落ちる。一方ナダルの室内コートでの勝率は68.1%で、屋外コートでの勝率84.8%と比べるとかなり低いことが分かる。

若手選手ダニール・メドベージェフ(ロシア)は、ビッグ3よりも室内コートに向いている選手かもしれない。ビッグサーバーでありカウンターパンチを得意とし、コートを縦横無尽に走り回るフラットヒッターの彼は、今季の室内コートでの成績を11勝1敗としており、その勝率は今季のツアーで1番の成績だ。

ナダルは、グランドスラムの次に重要な大会である「Nitto ATPファイナルズ」のコートが自分にとって不利であることに対して、屋外コートやクレーコートでの開催もするべきだと長いこと不満を漏らしてきている。しかし元世界3位でESPNの解説を務めるパム・シュライバーは「(室内コートでの開催は)劇場のメインステージで行われているような気分になれます。また、天候に左右されない環境なので、質の高いプレーが期待でき、それはファンにとっても、テニス界にとっても良いことだと思います」と話している。

※記事内の勝率などのデータは、現在開催中の「ATP1000 パリ」での成績は含まれていない。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「ATP1000 パリ」でのナダル
(Photo by Mustafa Yalcin/Anadolu Agency via Getty Images)

(c)テニスデイリー

最終更新:11/11(月) 21:11
THE TENNIS DAILY

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