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【プレミア12】台湾の日本通名物記者「侍ジャパン監督は百戦錬磨の名将・落合氏がベスト」

11/11(月) 16:33配信

東スポWeb

 日本の侍たちは世界でどう映ったのか。国際大会「プレミア12」に参加している侍ジャパンは台湾で開催された1次ラウンドB組を1位で突破。11日からは日本で行われるスーパーラウンドへ臨む。すべてが順風満帆にも見えるが、海外メディアの目は決してそうではない。同B組を2位通過した台湾代表との比較論も交え「日本通の名物記者」として知られる台湾・今日新聞の雷明正記者が「ここがヘンだよ、侍ジャパン」と題し、本紙に特別寄稿を寄せた。

【特別寄稿】侍ジャパンは確かに強かった。7日に台中インターコンチネンタル球場で行われた日本戦で台湾代表は、ほぼ完敗に近い内容で屈した。台湾の人たちにとって残念な結果だったが、このまま何事もなく順調にいけば日本はプレミア12で初優勝する可能性は高い。戦力的に見ても、スーパーラウンド進出を決めた他のチームよりもはるかに優れているからだ。しかし仮に今大会で頂点を極めたとして手放しで喜んでいいのか。私にはどうしても疑問が拭えない。

 今大会の代表選考にあたって、日本はメンバー選考にとても苦慮したと聞いている。国内合宿直前に楽天の松井と森原、そしてソフトバンクの千賀も日本シリーズ終了後にチーム合流予定だったが、それぞれコンディション不良を理由に代表入りを辞退した。水面下でも代表候補者だった複数の選手が「出たくない」と難色を示し、稲葉監督ら侍スタッフを相当に困惑させていたことも情報としてつかんでいる。

 ただ、これは仕方がない。プレミア12は東京五輪予選を兼ねた大会でもあるが、すでに日本は開催国として出場権を得ている。

 今大会に参加して大きく消耗し、本番の東京五輪を含む来季の戦いに悪影響を及ぼしてしまったら、それこそ本末転倒である。

 これまで稲葉監督も再三にわたって「東京五輪の金メダルが目標」と言い切っている。ところが、今大会の代表メンバーを見る限り、東京五輪に向けた戦い方をしているのではなく、どちらかといえばプレミア12で優勝することに傾倒し過ぎているように思えてならない。東京五輪、ひいては2021年開催のWBCも含めた未来の日本代表を育成することを忘れてしまっている。

 具体的な名前を挙げて本人には申し訳ないが、いくら代役選出でも巨人の36歳ベテラン・大竹の代表入りには驚きを禁じ得ず目を丸くするしかなかった。プレ東京五輪の今大会で代表経験が決して豊富でもないチーム最年長者にわざわざ白羽の矢を立てること自体、不可解だ。それなら同じ右腕で中日の22歳ストッパー・鈴木を呼んでほしかった。将来性に加え、何よりレベルも上だ。

 捕手選考では阪神の梅野が選ばれなかったことも信じられない。セ・リーグのゴールデン・グラブ賞受賞者で現在28歳。成長著しい阪神の正妻に、この国際舞台の場で経験を積ませることこそ東京五輪への道につながるのではないか。もっと言えば、今大会では巨人の岡本やヤクルトの村上、阪神の大山と近本ら“未来の若き侍”たちに経験を積ませていくべきだった。

 また、来季のメジャーリーグ挑戦を夢見る西武の秋山と広島の菊池涼を選出したこともナンセンスだ。2人がメジャー移籍を果たせば、東京五輪に出られないことは球界に携わる関係者ならば百も承知しているはず。今大会のスポンサーへの配慮など政治的な裏事情が絡んでいるのかもしれないが…。

 ちなみに台湾の野球代表チームは日本よりも役割分担がきちんと区分けされている。代表選考はフロントが行い、監督は基本的に試合での選手起用や作戦面を立てることなどマネジメントに徹する。そういう米国のメジャー流に近いシステムが出来上がっている。

 日本の報道を見ていると侍ジャパンでは稲葉監督が、相手チームの視察や代表選考に至るまで、すべてに顔を突っ込み過ぎているところはかなりの気がかり。これまでチームで指揮を執った経験のない人が全権監督を担わされれば、どこかでパンクしてしまう危険性も出てくる。

 思い起こせばWBCで日本を2連覇へと導いたのは、いずれもプロ野球球団と日本代表の兼任監督だった。第1回は当時ソフトバンクの王貞治監督、第2回も巨人の原辰徳監督だ。第3回以降は専任監督制が定着しているが、結果に結び付いていない。ベンチワークの面でブランクがあったり、初采配となったりすればマニュアル通りの戦い方にとらわれがちになって想定外のケースには対処しにくくなる。4年前のプレミア12の準決勝・韓国戦で9回に相手の猛攻で大逆転され、完全に泡を食ってしまった小久保前監督が最たる例だ。稲葉監督にも不安が付きまとう。

 個人的にはソフトバンクの工藤監督、巨人の原監督が侍ジャパンの指揮官としては適任だったと思っている。どうしても専任制というなら、百戦錬磨の名将・落合博満氏がベストであった。

 台湾代表も今、チームを率いているのはラミゴモンキーズを今季3連覇へと導いた兼任指揮官の洪一中監督だ。現在58歳の名将は経験豊富な知略家で目標達成のためならば、常に全力ではなく時に“捨てる勇気”まで見せられる人物である。こういう一面が稲葉監督にはまだ見えにくい。

 心底もったいない――。うらやましいぐらいにトップレベルのメンバーが大勢いるのに、侍ジャパンはうまく機能し切れていないというのが率直な感想だ。 

☆らい・めいせい=1987年6月25日生まれ。32歳。台湾・台北市出身。2015年に台湾メディア大手「三立新聞グループ」に入社し、編集兼スポーツ番記者として活躍。18年に中国系メディアで経済番記者を務めた後、19年に今日新聞(NOWNEWS)へ転職。同紙でスポーツ番野球担当として健筆を振るっている。「最も日本プロ野球に詳しい台湾人記者」として知られ、幅広い人脈を生かした鋭い分析とともに辛口トークも持ち味。「台湾の六角精児」との異名も持つ。

最終更新:11/12(火) 17:27
東スポWeb

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