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映画「ひとよ」の白石和彌監督が激白 文化庁の助成金問題に反論

11/11(月) 15:00配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 白石和彌監督(44)の映画最新作「ひとよ」(TOHOシネマズ日比谷ほかで公開中)。DV夫を殺して15年後に家に戻ってきた母と戸惑う家族の物語だ。犯罪をモチーフに人間の根幹を描く白石監督に作品と文化庁からの助成金取り消し問題で揺れる現代映画界の問題点を聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 本作は舞台が原作。なぜこの作品を映画化したのか?

「『凶悪』など、僕の作品に犯罪が多いのは、人間の本質が見えやすいからです。中でも加害者と被害者が同じ家族の中にいるところに惹かれました」

 母親役の田中裕子の熱演も話題だ。

「田中さんが決断されてこの作品は動きました。一度は断られたのですが、代わりが思いつかないので2年越しで待って。そこから他のキャスト陣も(オファーを)快諾してくれました」

 作品の色味にもこだわりがあるとか。

「スピルバークも使っている“銀残し”という手法を使い、くすんだ色や鉛のような質感で、家族にのしかかる罪、地方の現状を表現しました。今は地方だけではなく、日本全体にも影があり……海外に行くと日本は経済的に弱くなっていると痛感せざるをえません。SNSは悪口ばっかりで正義をはき違えている人が多すぎるし、表現の自由も危ぶまれるおかしな状況になっている」

ピエール瀧は「サポートしていく」

 白石作品の常連でもあるピエール瀧の出演を理由に映画「宮本から君へ」が文化庁から助成金を取り消されたばかりだ。

「ここ数年、SNSでつぶやいても声をあげたことにはならないと気づいたので、僕は行動を起こすことにしています。僕の『麻雀放浪記2020』も公開するか否か問題になりましたが、作品と逮捕は別。最近『KAWASAKIしんゆり映画祭』で『主戦場』の上映中止に対する抗議として、僕の作品上映を取り下げました。結局『主戦場』も公開されたので再上映しましたが“表現の自由”は民主主義の根幹です。ところが自分のことは棚に上げて、助成金の上部組織である文科省職員の机の引き出しから覚醒剤が出てきて逮捕されている。文科省こそ自分たちの予算を見直せと言いたいですね。そもそも一度罪を犯した人に対して厳しすぎる。執行猶予とはもう一度社会に出て人生を立て直すための時間なのだから、排除すること自体矛盾している」

 ピエール瀧についてこう語る。

「現場での印象はいつものように頭が良くて、その場にいる人を楽しませてくれる人。情があって、僕がやりたいと言ったことはすべてやってくれる。『凶悪』の頃から僕を監督にしてくれた人でもあるし、どういう状況であれ、瀧さんの人生はサポートしていくつもりです。瀧さんには社会に貢献できる働き方をして、象徴になってもらいたいと思います」

 「ひとよ」を通して訴えたいことは?

「家族の話なので立場ごとに感情移入できると思います。見たら映画界の問題も含めつつ、家族に思いを馳せてそのまま飲みに行ってもらいたいですね」

(聞き手=岩渕景子/日刊ゲンダイ)

最終更新:11/11(月) 15:00
日刊ゲンダイDIGITAL

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