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その不満、買い取ります 日々の“もやもや”を何でも買い取る「不満買取センター」が社会を変える?

11/11(月) 11:50配信

ITmedia ビジネスオンライン

 ユーザーからさまざまな不満を募る「不満買取センター」というサービスがある。人工知能(AI)を活用したデータ解析やコンサルティングを手掛けるInsight Tech(東京都新宿区)が運営している。

【画像で見る】実際に寄せられている不満

 寄せられた不満を基に、企業へのデータ提供や企画開発のコンサルティングも行っているというが、商品やサービスだけでなく、家庭や職場への不満も受け入れているというから驚きだ。ユーザーは不満をアップするだけでなく、他のユーザーが寄せた不満を見ることもできる。内容を見ると、「夫のいびきがうるさい」「子どものトイレに関するしつけがうまく行かず、ストレスになっている」といったものまで本当にさまざまな不満が寄せられている。

 不満買取センターという独特なサービスは、どのように生み出されたのか。また、一見すると商品開発に関係ないような日々の悩みまで募集するのか。同社の伊藤友博社長に聞いた。

商品は「シーンの一部」へ

 伊藤社長によると、商品やサービスの消費のされ方が変化していることがサービスの念頭にあるという。従来のマーケティングでは「モノ」そのものに対する欲求や、スペック面での訴求が目立っていた。しかし、技術の発展限界や生活シーンの変化により、モノそのものよりも「コト」へと消費者の興味はシフトしている。

 例えば、スピーカーであればメーカーは出力やデザインなどを競っていたし、消費者もその点を気にかけていた。しかし、今では「お風呂に入りながら音楽を聴きたい」「テラスで音楽を楽しみたい」といったように、シーンの一部として商品は消費されるようになっている。各企業はこうしたニーズを分析するためにSNSなども駆使しているが、得られるものは表層的なものが多い。表現の裏側にある「なぜ」の部分まで踏み込めていなかったという。

「はい」と答えてしまうバイアス

 また、企業がリサーチを行う際、どうしても質問形式を取ることが多い。ただ、質問に対して、人間は「はい」と答えてしまいがちになるのだという。これを「イエステンデンシ―」といい、せっかく客観的な情報が欲しいがためにリサーチしているのに、恣意的な情報が集まりやすくなってしまう。

 そこで、不満買取センターでは「日々の不満を何でもいいので聞かせてほしい」(伊藤社長)というコンセプトを掲げている。「調査に答える」といった受動的なものでなく、日々の“もやもや”や「あったらいいのに何でないんだろう」と漠然と考えるような自発的、かつ潜在的なニーズをすくい取るのが狙いだ。「聞かれても忘れていて答えられないようなところに、本来のニーズはある」と伊藤社長は話す。

 さらに、商品ごとに不満を募集するのでは“モニター感”が出てしまうという理由から、不満買取センターでは「食品」「人間関係」「仕事」など幅広いカテゴリを設定している。非常に広いジャンルで不満を投稿できることから、「気持ちの整理用」として、日記のように使っているユーザーもいるという。

 企業はこうした不満を、「N1分析」に活用している。N1分析とは、「N=1」、つまり不特定多数のターゲットや架空のペルソナを決めてマーケティングを行うのではなく、実在する1人のユーザーを分析しながら戦略を組み立てていく手法だ。実際にデータを見てみると、これまで想定していたニーズと異なったものが明らかになったり、ほんのちょっとしたところに不満を感じていたりとリアルな声が浮かび上がる。

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最終更新:11/11(月) 11:50
ITmedia ビジネスオンライン

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