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GDP、指標としての限界が浮き彫りに。代替する指数の開発・普及の新たな試み

11/11(月) 6:01配信

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「経済が成長・減速している」「日本は世界3位の経済規模」など、経済ニュースでよく目にする言葉。経済の好調・不調やその規模を測る指標として使われているのが「国内総生産(GDP)」だ。

現在広く使われているGDPのコンセプトは、米国の経済学者サイモン・クズネッツ氏が1937年に米国議会に提出したレポートのなかで示されたといわれている。

その後1944年のブレトンウッズ会議で設立された世界銀行や国際通貨基金で、経済復興・経済成長を測る指標としてGDPが使われるようになり、世界各国に浸透していった。

GDPを高めることが国民の幸せにつながるという考えのもと、各国では付加価値を高める経済政策が進められることになる。一次産業から二次・三次産業へシフトすることによって、欧米や日本はGDPを飛躍的に伸ばすことに成功した。

高度経済成長期の日本に見られるように、GDPの高まりにともない、所得レベルが上昇し、モノは充足され、ある程度国民の幸福度は高まったように思われた。

しかし、急速な工業化による環境破壊や健康被害が起こったことで、GDPの上昇は必ずしも幸福度を高めるものではないという認識が広がり、国民の富や幸福度を正確に測るための指標を求める声が次第に大きくなってきた。1972年ブータンで導入された「国民総幸福量(GNH)」や1990年国連が公表を開始した「人間開発指数(HDI)」などはそのような指数の好例といえるだろう。

GDPに代わる指数の開発・普及の取り組みは現在も続いており、新たな試みも登場している。

3つの資本で富を指数化、国連の「インクルーシブ・ウェルス指数」

国連大学と国連環境プログラムが2012年にローンチした「インクルーシブ・ウェルス指数(IWI)」は、GDPと人間開発指数を代替することを目的に開発された指数だ。製造資本、自然資本、人間資本から総合的な富を「インクルーシブ・ウェルス(包括的な富)」として指数化している。

製造資本とは、道路、建物、機械・設備など、経済活動を行うための資本。人間資本には、知識、スキル、教育などが含まれる。自然資本とは、森林、農耕地、河川・海、大気、生態系、地下資源など。

IWIの算出では過去数十年に渡る膨大なデータが使われており、構成要素の歴史的変化を比較することができる。このため、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を評価する手段としても期待が寄せられている。

IWIが算出されている国の数は140カ国。統計データが揃っていない国は含まれていない。1990年を基準年として、それ以降のIWIが算出されている。

2018年のIWI最新レポートによると、1992年から2014年の間に世界全体のIWIは44%増加しており、年率換算では1.8%の成長になるという。同期間の世界GDPは年率3.4%増加していた。

IWIの成長率がGDPを下回っている主な理由は、自然資本が1990年から毎年下がり続けているからだ。環境コストを支払い、経済成長を進めてきたことが如実に反映された形となっている。自然資本は長期の成長(持続可能な成長)を実現するために必要な資本。製造資本の増加、つまり短期の成長を実現できたとしても、自然資本が少なくなっており、今後の成長が大きく損なわれる可能性が示唆されている。

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最終更新:11/11(月) 6:01
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