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「夜行高速バス運転士」の仕事を聞く 「大型二種」のプライド 勤務内容&その魅力とは

11/11(月) 6:04配信

乗りものニュース

「夜行高速バス運転士」はアシストする役目

「夜行高速バス運転士」とは、どのようなお仕事なのでしょうか。

 このたび話を聞いたのは、高速乗合バス(路線バス)「VIPライナー」を運行する平成エンタープライズ(埼玉県志木市)の高橋宏幸さんです。総合物流会社から同社に移り10年のキャリアを数える高橋さんは、「指導運転士」として新人ドライバーの教育にも当たっています。この日はちょうど仕事明けとのことでした。

【写真】高速バス「VIPライナー」、乗務するのはこんなバス

――お疲れのところ、ありがとうございます。一度の乗務で、どのくらい運転するのですか?

 ルートにもよりますが、今回は7時間前後ですね。バスタ新宿や東京駅でお客様をお乗せして、京都や大阪の難波までお送りします。到着後、休息して逆のルートで戻るのですが、我が社はツーマン運行(ドライバーふたり体制)なので、2時間半から3時間ごとに交代しながら走行しています。

――そもそも、どういうきっかけでこのお仕事に就いたのですか?

 元々、子どものころからバスの運転士には憧れていたんです。埼玉の長瀞の出身なのですが、「身近で、ネクタイをしているかっこいいおじさん」という感じでしたね。以前は総合物流会社でトラックやフォークリフトを運転していましたが、大型二種の免許を取得し、この仕事に転職しました。最初はお客様を乗せる、これだけの命をお預かりするということに大変緊張したのを覚えています。

――同じ運転にかかわる仕事でも、やはり違うものですか?

 高速バスの運転士は、お客様の乗せ降ろしに直接関わる接客業でもあります。ほとんどのお客様は、旅行で高速バスをご利用されているので、私たちは「これから楽しいことが待っている」という気持ちを削がないようアシストする役目だと思っています。ですので基本的に、どんなリクエストにも笑顔を絶やさないことを心がけています。

運転中、集中力を高める方法とは?

――運転前には、どんな準備をするのですか?

 毎回決まったバス車両に乗るわけではないので、自分の体に合った低反発座布団を持ち込んでいます。あとはリフレッシュのためにコーヒーを用意することもありますが、車内のお客様はもちろん、ガラス越しに外からも見えないカップホルダーに置くようにしています。

――思ったより「接客業」の色合いが強いのですね。

 マイクでの案内や、休憩時のSAでの対応含め、お客様にどれだけいい気持ちで乗ってもらうかが、プロのバス運転士の仕事です。

――ドライブシーズンなど、いい景色のなかで走れるのは、楽しそうですね。

 ほとんどが夜行なので、景色を楽しむことはなかなかできないのですが、夏場の早朝、東京へ向かう途中の浜松から先のあたり、ちょうど日が昇ってくるタイミングには富士山がきれいに見えます。いわゆる赤富士ですね。あと、大津SAが気に入っています。2階に行くと、琵琶湖が全面に見渡せて気持ちがいいですよ。

――暗いなかの運転で、眠くなることはないのでしょうか?

 経験の浅い運転士だと、最初はきつく感じるかもしれませんね。最も注意が必要なのは、高速走行で2時間が過ぎたころです。科学的にも、運転開始から2時間前後には集中力や判断力が落ちるといわれており、特に新人はことごとく眠気に襲われます。基本的には交替しますが、そうした時にどう集中力を高めるかは、各々で違ってくるんです。私の場合は、過去にあった面白いことを思い出したり、休息時間に大阪でどんな美味しいものを食べに行こうかと考えたりして、気持ちをハイに持って行って眠気を払っています。

 新人でたまに、心のなかで歌っているつもりが口から出てしまっている者がいますね。「お客様に聞こえているよ」と注意したことがあります。

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最終更新:11/11(月) 14:27
乗りものニュース

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