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中谷美紀さんが語る。「女性が正論を言うことが難しい社会」との向き合い方

2019/11/11(月) 13:33配信

ハフポスト日本版

「女性が正論を言うことが難しい社会だから…」

総合商社を舞台に、シングルマザーとして子育てをしながらバリバリ働く女性を描くドラマ『ハル~総合商社の女~』(テレビ東京系)。ニューヨーク帰りの主人公、海原晴(かいばら・はる)を演じる女優の中谷美紀さんは、こう話す。

男女は「平等」であるべき。

お互いがお互いの生きづらさを理解し、フェアな社会であるべき。

…もちろん、こうした「べき論」はもっともだが、現実はそこまでスムーズにはいかない。 ましてや、旧態依然とした大企業で働く女性ともなれば、なおさらだ。問題意識を持ちながらも、一個人として生きていく上で、日々目の前に立ちはだかる社会の未熟さと、どう折り合っていけばいいのだろう。

「晴」として、さらには役柄を超え、現代に生きる一人の女性として、中谷美紀さんの思いを聞いた。

クラシックを役づくりのヒントに

中谷さん演じる主人公の晴(ハル)は、10歳の息子を育てるシングルマザー。食品、医療、ファッションをはじめとする幅広いジャンルの事業を扱う大手総合商社「五木商事」にヘッドハンティングされ、アメリカより帰国、経営企画部の部長補佐に着任するところから物語がスタートする。

「キャスティングを見て驚いたのは、経営企画部のメンバーが私以外はすべて男性ということです」と中谷さん。

会議が開かれると、ずらりと並ぶ男性社員の中で、たった一人の女性社員として描かれているのが晴だ。 男性中心の社会の中で孤軍奮闘する晴を、中谷さんはどのように演じたのだろうか。

「とりわけこの社会は、女性が正論を言うことがなかなか難しい場所ですよね。もちろんそれは、どこの国においてもある程度は変わらないのかもしれませんが、欧米などでは、それでも、きちんと女性を認めようという空気があります。

それゆえに、女性たちも堂々と意見を言えるようになってきていると思うのですが、ことアジア、とくに日本においては、まだまだ難しいのが現実です。

今回のドラマは、それらを前提としながら、晴という一人の女性が、男性におもねるでもなく、かといって、彼らの嫉妬やひがみを完全に見て見ぬ振りをして敵対するのでもなく、とにかく笑顔で接する、という風に演じさせていただいています」

アメリカ帰りのハルは、日本企業特有の“忖度文化”をものともせず、ズバズバと発言し、周囲を動かしていく。しかしドラマは、ジェンダーギャップや大企業の悪しきカルチャーと戦う女性の、単なる武勇伝として作られているわけではない。

「ドラマの中には、晴のように正論ばかりでは生きられない男性たちがたくさん登場します。彼らが家族をもっていて、自分が妻や子どもを養っていかなくてはならないと思っているのだとしたら…。それはやはり、いまいる場所で長いものに巻かれた方が楽だろうと考えたり、あるいは、それしか方法がないという人もいるでしょう。

そのような人たちに対して、晴は自分の意見を真っ向から言うものの、彼らを視界に入れない、ということはしないんですね。決して見捨てないし、置き去りにもしません。そうした視点も、この作品ならではです」

笑顔で正論を唱えながらも、そこからこぼれ落ちそうになる人を見過ごさない晴を演じるのは至難の技だ。演技のポイントを聞いてみると、2018年末に結婚したドイツ出身のパートナー(ヴィオラ奏者のティロ・フェヒナーさん)との生活が役づくりに影響をもたらしていた。

「彼の職業が、国立歌劇場管弦楽団での演奏やウィーンフィルでの演奏ということもあり、そのような場に触れる機会が多いのですが、演奏時の間合いや音の強弱、トーンなどをお芝居に生かせないかと日頃から考えていました。

今回の晴の話し方は、破裂音のような勢いのある感じを意識していて、楽器で例えるならトランペットのような音色だなと思って演じています。クラリネットやホルンほど柔らかくはなく、どちらかといえば人の気持ちを鼓舞するような話し方ですね。

もちろん扇情的なトランペットの音色にも緩急が必要です。多くの場合はフォルテなんですが、心情を表す大切な場面ではピアニッシモで伝えたい言葉が静かに効いてくるようなセリフの言い回しができるといいな、と思って演じています」

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最終更新:2019/11/11(月) 13:33
ハフポスト日本版

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