ここから本文です

介護士からプロ棋士へ 今注目を集める今泉健司四段の歩み

11/12(火) 8:00配信

HOMINIS(ホミニス)

中学生でプロ入りし、超一流へと成長する天才もいれば、プロ入りまで苦労する棋士もいる。そんな中、今泉健司四段は最も苦労した棋士の1人と言えるだろう。

将棋のプロになるには基本的に奨励会に入会し、昇級・昇段を重ねて最後の関門三段リーグを抜けるしかない。例外は瀬川晶司四段(当時)のプロ編入に合わせて設立された編入試験となる。

今泉は中学生で奨励会入り。順調に昇級、昇段を続け三段昇段。三段リーグでは次点を取るなど好成績を収めたものの、昇段には届かず1999年に年齢制限で退会となった。

奨励会退会後は会社員となり、社会人としてアマチュア大会に参加。アマ竜王、アマ王将などを獲得し、プロ公式戦でも活躍を見せた今泉は、2007年に設立された三段リーグ編入試験に挑戦。三段リーグ編入試験はアマチュアの全国タイトルを取ると申請可能で、二段に6勝2敗以上の成績を収めると三段リーグに編入し、4期戦うことができる。

三段リーグ編入試験では菅井竜也初段(当時)に敗れたものの、斎藤慎太郎初段(当時)、澤田真吾初段(当時)、都成竜馬二段(当時)らに勝って6勝1敗で合格。なお、後に何人ものアマトップが挑戦しているが、合格を果たしたのは今泉のみである。

2度目の三段リーグでは1期目に2連敗後9連勝。昇段争いに加わったが、最後は崩れ11勝7敗に終わる。3期目も11勝を挙げたものの昇段には届かず、規定の4期を終えて2009年に奨励会を二度目の退会。なお、この間に2手目△3二飛戦法により升田幸三賞を受賞している。

2度目の退会後は一時期東京で会社に勤めていたが、後に地元の福山へと戻り介護士となる。再びアマチュア大会に参加するようになるとアマ名人、アマ王将、朝日アマ名人などを獲得。プロ公式戦でも白星を重ね、2014年に10勝5敗の成績に到達し、プロ編入試験の資格を得た。プロ編入試験はいいところ取りで公式戦10勝5敗以上の成績を収めると可能で、新四段5人と対戦し、勝ち越すとフリークラスに編入することができる。

プロ編入試験では第1局に宮本広志四段(当時)、星野良生四段に連勝。第3局の三枚堂達也四段(当時)に敗れたものの、第4局の石井健太郎四段(当時)に勝ち、悲願の四段昇段を果たした。41歳でのプロ入りは史上最年長だ。

棋風は粘り強さを持ち味とする中飛車党。ただし、相手が振り飛車党の場合は居飛車で迎え撃つことも多い。奨励会やアマチュア大会を多く戦ったためか、特に長手数の泥仕合で力を発揮する。

若いとは言えないプロ入りだが、四段昇段後も着実に成績を上げている。四段昇段後約1年半で規定の成績を満たしフリークラスから昇級した。また、順位戦C級2組で昇級争いをしたり、NHK杯で藤井聡太七段を破るなどの活躍も見せている。今年度は10月まで約7割の勝率を挙げ、好調だ。

第28期銀河戦では2回戦から登場し、山本博志四段と対戦となる。プロデビュー時から三間飛車宣言の山本は、その通り三間飛車を採用する可能性が高い。対する今泉は居飛車で迎え撃つことが予想される。生きのいい新四段対、ねじり合いが持ち味の苦労人の好勝負を期待したい。

文=渡部壮大

HOMINIS

最終更新:11/12(火) 8:00
HOMINIS(ホミニス)

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事