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最悪レベルの大気汚染、胎児への影響懸念 印ニューデリー

11/12(火) 9:16配信

AFPBB News

(c)AFPBB News

【11月12日 AFP】インドの首都ニューデリー在住のレイチェル・ゴカビ(Rachel Gokavi)さん(26)は出産を間近に控え、ほぼ毎日自宅にこもっている。インドでの流産や乳児死亡が急増している原因だとされる最悪レベルの大気汚染から、おなかの子どもを守るためゴカビさんは必死だ。

 ゴカビさんはAFPに「バルコニーへ通じるドアはいつも閉めておき、外出もあまりしない。子どもが生まれた時に呼吸器に問題があるのではないかと不安だ」と語った。

「朝の散歩はしない。天気がいい日は午後に外出すること」。出産前教室に参加した妊娠した女性たちは眉間にしわを寄せながら、真剣に講師のアドバイスに耳を傾ける。ゴカビさんら妊娠中の女性たちは、有毒な大気を日々吸い続けなければいけないことに無力感と怒りを覚えている。

 ニューデリーの大気汚染は深刻で、デリー首都圏政府の首相は最近、この状態を「ガス室」に例えたほどだ。すぐに解決する見通しもなく、医師のできる助言も限られている。マスクの着用と、できれば自宅に高価な空気洗浄機を置くこととアドバイスしているが、高価なものを買う余裕がない家庭も多い。

 世界保健機関(WHO)によれば、世界で最も大気汚染が深刻な15都市のうち14都市がインドにあるという。

 ニューデリーは毎年冬になると、自動車の排ガスや工場の排煙と近隣地域の農地での野焼きの煙が混ざり合った有害なスモッグに覆われる。今年6月のインド政府の調査によると、インドでは毎年100万人が大気汚染によって死亡しており、このうち5歳未満の子どもが10万人以上を占めている。

 医師によると、子どもは肺が小さいため有毒な大気を大人の2倍吸い込んでおり、これが呼吸器系疾患や脳の発達を妨げる要因となっているという。また、国連児童基金(UNICEF、ユニセフ)は今月、高濃度の大気汚染にさらされた若者は、メンタルヘルスに問題を抱えやすいとの調査結果を発表している。

■低出生体重児や早産の割合が増加

 オンライン科学誌「ネイチャー・サステナビリティー(Nature Sustainability)」に先月掲載された研究によると、大気汚染は喫煙と同じレベルの悪影響を胎児に及ぼす。この研究はニューデリーと同じく長年大気汚染と闘っている中国・北京で行われたもので、母親の大気汚染への暴露と妊娠第1三半期の稽留(けいりゅう)流産のリスク増大に関連があることを示している。さらに2017年に行われた別の研究では、微小な有害物質が胎盤の胎児側に入り込み、胎児の発育を阻害していることも示されている。

 ニューデリーにある医療機関「シタラム・バルティア(Sitaram Bhartia)」では、体重1キロほどの超低出生体重児たちがチューブの助けを借りながら呼吸していた。その横には生命兆候(バイタルサイン)を測定する機械が置かれている。

 新生児担当の産科医リンク・セングプタ(Rinku Sengupta)氏は、大気汚染が深刻な都市では低出生体重児や早産の割合が上昇していると話す。

 セングプタ氏は、「直接的な因果関係を証明することは難しいが、直接的なつながりを示す十分な証拠がある」「何ができるかを考えなければならない」と話した。「これは緊急事態だ」

 映像序盤は新生児集中治療室の低出生体重児、10月18日撮影。中盤は空気清浄機のある部屋で過ごす生後6か月の赤ちゃんと母親、出産前教室に通う夫婦ら。ニューデリーで10月6、26日撮影。終盤はマスクをする人々や煙霧でかすむニューデリーの街並み、11月4日撮影。(c)AFPBB News

最終更新:11/12(火) 9:16
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