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加熱式タバコ大国日本。電子タバコ規制強まる中で「加熱式」は大丈夫なの?

2019/11/13(水) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

「加熱式タバコ」が日本でブレークした理由

そもそも、日本では「ニコチン入り」の電子タバコは厚生労働省管轄の「医療品医療機器等法(薬機法、旧薬事法)」により規制されており、公には販売されていない。国内に流通するのは、法的な規制が十分でない、ニコチンを含まない電子タバコ製品だ。

一方で、加熱式タバコのIQOSはパイプタバコに該当する「タバコ製品」として、たばこ税を管轄する財務省が、世界のどこよりも早く認可した。

まず2014年に日本の一部の都市限定で販売を開始。2016年には世界で初めて日本が「全国的に」IQOSを販売している国になった。同年10月時点で、世界シェアの96%を占めていたという(ユーロモニター調査)。

ではなぜ、日本では「加熱式」が簡単に販売されたのか?

田淵氏は、こう指摘する。

「今までにも販売されたことのある電子式のタバコ製品と同様、『たいして売れず、社会への影響力はさほど大きくないだろう』という読みだったのではないか」

ところが実際には日本でブレークし、品薄状態になった時期もあった。 田淵氏の研究グループによる調査では、 2015年から2017年にかけて、加熱式タバコ(IQOS)を 30日以内に使用、つまり「現在使用している」人の割合は、0・3%から3・6%に増えていた。2年間に10倍以上の伸びだ。

一方、日本以外の国では、「2018年初頭から規制を強化したシンガポールのように、この未知のタバコ製品は危険だとして、あわてて加熱式タバコを禁止した国もあるくらい」(田淵氏)なのだという。だからこそ、

「従来の紙巻タバコとはかなり違うタイプの製品であり、安全か否かの確認が不十分な段階で、国として販売を許可してよかったのか?判断するには時期尚早ではなかったか?」

と田淵氏は疑問を投げかける。

新型タバコでもニコチン依存に

さらに問題なのは、加熱式タバコには害がないと誤解させるようなプロモーション活動を展開している点だと、田淵氏は指摘する。健康に及ぼす影響の可能性について、先述の2社はこう回答した。

「1. 紙巻タバコから完全にIQOSに切替えると、紙巻タバコを吸い続けたときに比べ、健康リスクの低減が見込まれます。

2. IQOSは紙巻タバコと比較し、有害性成分の量が平均で95%低減されています」(フィリップ・モリス)

「当社の加熱式タバコから発生するタバコベイパー(編集部注:エアロゾル) について、WHO が健康へのリスクの観点から含有量の低減を優先して推奨している9つの健康懸念物質がどの程度含まれるのかを調査したところ、従来の紙巻タバコのタバコ煙に比べて、大幅に低減されておりました。

プルーム・テック:99%以上、プルーム・テック・プラス: 99%以上、プルーム・エス:90%以上」(JT)

これに対し、田淵氏の指摘はこうだ。

「広告物に『9割以上低減』と大きな文字で書かれていたら、健康にほぼ害がないと誤解してしまう。実際には、発がん性物質など多くの種類の紙巻きタバコと共通の有害物質が加熱式タバコからも検出されている。

複数の研究機関による分析結果をまとめた論文では、紙巻タバコと比較して、有害物質のうち減った物質もあれば、減っていない物質もあり、さらには加熱式タバコの方が多くなっている物質もあった。一律に低減されているわけではありません。さらに、加熱式タバコにはニコチンは多く含まれますから、ニコチン依存はどちらにせよ維持されます」

「未知の物質による有害性も懸念材料の一つ。最近海外から出た論文では、ニコチン入りの電子タバコを実験動物に吸わせ続けたら、電子タバコの成分で肺がんになると報告されました。電子タバコでも発がんリスクが指摘されていますが、 2018年に出されたタバコ規制の専門誌 『Tobacco Control』の論文によれば、 加熱式タバコからは電子タバコよりも多量の発がん性物質が検出されています 」

なお、消費者へのリスク提示について、両社の方針はこうだ。

「私たちは、加熱式タバコには紙巻タバコの喫煙に伴う健康へのリスクを低減させる可能性があると考えていますが、 加熱式タバコがリスクの低減された製品であることを結論づけるにはさらなる研究が必要であり、評価を進めています。

またIQOSにリスクがないわけではなく、IQOS専用たばこスティックには、喫煙関連疾患の主要因ではないものの依存性のあるニコチンが含まれます、とお伝えしています」(フィリップ・モリス)

「加熱式タバコ(T-vapor: プルーム・テック/プルーム・テック・プラス/プルーム・エス)には、タバコ葉を使用しています。

このため、加熱式タバコの使用には健康へのリスクが伴います。私たちは、当社の加熱式タバコをリスク低減が証明された製品としての有力な候補として捉え、期待を寄せていますが、現時点では『リスクが低減された製品である』と断言したり、訴求したりするに足る科学的証拠は揃っていません。そのため、『害が低減されている』という内容ではなく、あくまで『健康懸念物質が低減されている』という調査結果をお客さまにお伝えしております」(JT)

実際フィリップ・モリス・インターナショナルは、IQOSをリスク低減製品(Modified Risk Tobacco Product)として販売できるよう、アメリカのFDAに申請し続けているが、現在においても認められていない。

これまでの審議でFDAの専門委員は9人中8人(1人は棄権)が「IQOSに切り替えても、病気になるリスクは減らない」と判定している。しかし、IQOSはリスク低減製品としてではなく、「一般のタバコ製品」として2019年4月にアメリカ国内での販売が認可され、10月からアトランタでの販売が開始されている。

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最終更新:2019/11/13(水) 17:01
BUSINESS INSIDER JAPAN

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