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【現地ルポ】台風19号から1カ月 作業はマスク着用必須…被災地長野を襲う下水と土の臭気

11/13(水) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「片づけても片づけてもゴミが出てくる」――。史上最強クラスの台風19号の直撃から12日で1カ月。千曲川沿いの堤防決壊で水没した長野市長沼地域の住民からは、災害ゴミや泥の片づけに疲れきった声が聞こえてくる。日刊ゲンダイ記者が現場を歩いた。

 長野電鉄長野線・柳原駅から、道沿いに果樹園などが並ぶ「アップルライン」(国道18号)を徒歩で20分北上すると、長沼地域に差し掛かる。最高気温15度でも、手が冷たい風でかじかむ寒さだった。

 最も被害の大きかった穂安地区まで千曲川沿いの堤防を歩きながら、東側に広がるリンゴ畑を見下ろすと、数百本を超える樹木が上流から下流に向かって横倒しになっている。葉もリンゴも枯れ木のように茶色く汚れており、リンゴ農家の70代男性は「堤外のリンゴは全滅。約200本の木がダメになってしまった」と肩を落とした。

 堤防西側に戸建てが乱立する住宅地にたどり着くと、下水と土臭さの混じったにおいが鼻をつく。穂安地区の決壊現場付近は水没から1カ月経つというのに、足首まで靴が沈むほど軟らかい泥に覆われている場所が多い。風が吹くたびに砂ぼこりが舞い上がるため、住民やボランティアはマスクをしながら片づけに追われた。

 川から流れ込んだ濁流の勢いは凄まじく、決壊現場から約20メートルにある長沼体育館は「く」の字に曲がった壁の鉄骨がむき出しに。体育館南側の守田神社に至っては境内の樹木数本を残しただけで、跡形もない。リンゴ畑に流れ込んだ砕石や砂利で長さ50メートル以上の“道”が出来ているなど、目を覆いたくなる光景が広がっていた。

 決壊現場近くの一戸建てに住む40代男性が被災当時を次のように振り返る。

「決壊前に妻と子供3人と車2台で妻の実家に避難していたので無事でした。被災から2日後に一時帰宅したのですが、玄関前に高さ30センチくらいの泥が積もっていました。(自宅は)恐らく地上から2メートルくらい水に漬かったと思います。中2階が浸水し、1階は冷蔵庫やピアノが倒れてメチャクチャ。ツンとする嫌なにおいが充満していました。自宅が数百メートル先の公道まで形を残したまま流されてしまった住民もいます」

 元の生活を取り戻す道のりはまだまだ遠い。

(取材・文=高月太樹/日刊ゲンダイ)

最終更新:11/13(水) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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