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山で迷ったらまず110番 家族への連絡より優先を 迅速な発見につながる位置情報

11/13(水) 10:30配信

中国新聞デジタル

 千メートル級の山が連なる広島県北西部の西中国山地でこの秋、登山やキノコ狩りで道に迷い救助されるケースが相次いだ。いずれも大きなけがはなかったが、山中から110番・119番をしたかどうかが発見までの時間を左右した。警察や消防は通報者の位置を特定できるシステムを導入しているためで、緊急時には家族や知人への連絡だけでなく、早めの通報を呼び掛けている。

 ▽位置情報、発見を左右

 ツキノワグマもくらす同山地。9月15日午後5時10分ごろ、同県安芸太田町の天杉山(1173メートル)に1人で登った広島市の女性(69)から110番があった。「山頂にいるが、どう下りていいか分からなくなった」と女性。県警はすぐに女性の位置を把握し、動かないよう指示した。

 翌朝、地元の消防団員や消防隊員が現地へ向かい無事発見した。道案内した栗原真団長(60)は「おおよその場所が分かり、女性が移動しなかったので早く見つけることができた。登山道や山頂にクマザサが茂り、動いていれば見つけられなかったかも」と振り返る。

 ▽GPSで把握

 県警や県内の多くの消防局・本部は、衛星利用測位システム(GPS)機能があるスマートフォンや携帯電話から通報した際、発信地が伝わるシステムを導入している。通信状況などによる誤差はあるが、位置の絞り込みに役立つという。

 隣の北広島町では10月6日午後1時ごろ、「キノコ採りに行った夫婦が『道に迷った』と電話してきた」と家族から119番があった。町消防署は、山中の夫婦から通報させるよう依頼。指令センターのモニターで2人が平家ケ城山(619メートル)付近にいると分かり、同署員が急行した。市消防局にヘリコプターを要請し、早期に救助できた。

 ▽家族より110番

 一方で、知人への連絡はあったものの警察などへの通報はなく、捜索範囲の絞り込みが難しいケースもあった。同町の高岳(1054メートル)を1人で目指した広島市の男性(76)は9月25日午後3時半ごろ、「道に迷った」と知人へ電話。その後、連絡が取れなくなった。翌朝、知人から通報を受けた町消防署が男性に電話したがつながらず、捜索でも見つからなかった。

 2日目は警察や消防、ボランティアたち約70人で捜索。土地勘のあるボランティアが機転を利かし、聖山(1113メートル)近くの沢で男性を見つけた。発見場所は電波の圏外で、最初の連絡から約42時間がたっていた。松本浩二署長は「山では圏外になったり、充電が切れたりして連絡が取れなくなる可能性が高い。緊急時、家族に知らせたから一安心ではなく、早めの通報が迅速な捜索と発見につながる」と強調する。

 中国山地も紅葉本番の時季。昨今はGPS機能付きスマホや腕時計を携帯する人も多い。広島登山研究所の松島宏代表(67)=広島市西区=は「経験にかかわらず、登山にリスクはある。紅葉が進むと同時に日暮れも早くなり、夜間は冷え込む。登山やキノコ狩りで迷った際は早めに通報することが明るいうちの対処につながる」と助言する。

 警察庁によると、昨年の広島県内の山岳遭難は19件で1人が亡くなっている。県警はホームページ(HP)などで複数人での登山や十分な装備、登山計画書の提出などを促す。道に迷って自力での下山が難しくなったり、事故に遭ったりした場合はすぐに110番するよう呼び掛けている。

中国新聞社

最終更新:11/17(日) 21:52
中国新聞デジタル

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