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18歳サター自殺は他人事ではない アスリートの人生狂わす過剰な報道と期待

11/13(水) 12:10配信

REAL SPORTS

サッカー、野球、卓球、フィギュアスケートなど、日本では今どんどん若い10代の選手が活躍を見せている。それ自体は素晴らしいことだが、メディアやファンによる過剰な報道と期待によって、競技人生だけでなく人生そのものが狂ってしまう危険性もはらんでいる。18歳の誕生日に、英国の五輪候補選手が自ら命を絶った。この悲劇は、東京オリンピック・パラリンピックを控えている私たちにとって、決して他人事ではないはずだ。


(本記事は、5月24日に『REAL SPORTS』で掲載された記事を掲載しています)

死にも追い込む危険をはらむ若きエリートへの “重圧”

2022年に開催される北京冬季オリンピックへの出場が期待されていた選手が、自ら命を絶った。昨年7月に、英国のスノーボーダー、エリー・サターが亡くなった。18歳の誕生日に。サターは英国チームの練習に参加するため飛行機に乗る予定だったが、その飛行機に乗り損ね、その後、自殺した。

亡くなった日から数日後、彼女の父がメディアの取材に応じた。2018年7月31日付のBBC電子版が父の言葉を伝えている。父によると、サターはよいパフォーマンスをしなければいけないという重圧を感じており、それに対し精神面の問題を抱えていたという。飛行機に乗り遅れるというのはささいなことだが、チームの練習に時間どおりに参加できなかったことが、最後の引き金を引いてしまったようだ。

「彼女は一番になりたかった。そして、誰かをがっかりさせたくないと思っていました」

父の言葉は続く。

「飛行機に乗ることができず、チームと一緒にトレーニングできない。ただそれだけのことから起こったのです。彼女はチームをがっかりさせてしまった上に私を落胆させたと感じ、悲劇的なことに、こんなささいなことがきっかけになるほどに追い詰められていたのです。子どもたちには、これほど大きなプレッシャーがかかっているのです」

2017年にトルコで開催されたヨーロッパユースオリンピックウインターフェスティバルで、サターは銅メダルを獲得した。これが英国チームにとっては、この大会の唯一のメダルでもあった。

イギリスオリンピック協会のビル・スイーニーCEOは「われわれはエリートスポーツに伴うプレッシャーを認識しており、アスリートが大会に参加している間、アスリートとスタッフがウェルフェア(福祉)官と話すことのできるシステムを確実なものにする」と話した。国を代表するエリートアスリートには重いプレッシャーがかかっているが、誰もが自殺に追い込まれるわけではない。米国では、同年代と比べると、エリートアスリートのほうが自殺を考えたり、実際に自殺に至るパーセンテージはやや低いというデータもあるくらいだ。それでもエリートアスリートゆえに陥りやすい闇がある。

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最終更新:11/13(水) 12:10
REAL SPORTS

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