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偽ニュースが分断深める-香港の人々はテレビよりネットを信頼

11/13(水) 13:52配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 香港の大学生、周梓楽さんが4日に駐車場から転落してすぐ、さまざまな話がオンライン上に広がった。

近くでデモ隊を催涙ガスで排除していた警察が周さんを追跡したとか、周さんを押したとかの情報がチャットグループ投稿やソーシャルメディアで拡散。警官が救急車を妨害して周さんの救命処置を遅らせ、救えるはずだった命が8日に22歳という若さで亡くなったとも記されていた。

こうした言い分は立証されていない。警察は追跡中だったとの情報を否定し、英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)など香港主流メディアは周さんが転落した状況は不明だとしている。11日には周さんの死を悼むため集まった数百人が警察ともみ合う中で、参加者の1人が警官が発砲した実弾を受けて重傷を負った。

反政府抗議行動が23週にわたり続く香港では、政治的立場を異にするそれぞれの陣営からオンラインを介して発せられるうわさやフェイク(偽)ニュース、プロパガンダ(宣伝工作)があふれている。対立をあおるレトリックが不信と暴力を激化させ、危機解決を一段と難しくしている。デモの影響で香港経済はすでにリセッション(景気後退)に陥り、アジアの金融センターとしての香港の地位には疑念が浮上した。

香港大学ジャーナリズム・メディア研究センターの鍛治本正人准教授は、世論を二極化させるため偽情報は自己増殖すると指摘した上で、こうした分断の和解がもはや不可能な地点に達することを懸念していると述べた。同准教授はここ7年ほどフェイクニュースの研究を行っている。

疑わしい情報の拡散と同時に見られるのが、かつて信用されていた香港の公的機関に対する信頼性の低下だ。香港民意研究所によれば、香港住民の80%近くが政府の能力に不満を抱き、その割合は1年前の40%から急増。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官を信頼しているのはわずか1割強で、警察に満足しているのは人口の半分にすぎない。

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最終更新:11/13(水) 13:52
Bloomberg

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