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組み体操「人間起こし」、3年で事故145件 識者警鐘...このままでは「重大傷害事故が必ず起こる」

11/14(木) 7:00配信

J-CASTニュース

 運動会などで行われる組み体操の技の一つで、かねてから危険性が指摘されていた「人間起こし(トラストフォール)」で、過去3年間(2016~18年)に145件の事故が起きていたことが分かった。

【画像】実際に行われているシーン

 中でも頭部のケガが39件と突出しており、専門家は「危険だという事を訴え続けないと、人間起こしの事故件数は増え、重度障害事故が必ず起こります」と危機感を募らせる。

■兵庫県で多発。頭部のケガが突出

 人間起こしは、数人の土台の上に1人が立ち、後ろ向けに倒れて土台が受け止めるという技だ。その後、振り子のように前後に揺れる動作を繰り返す。

 組み体操の解説書『運動会企画 アクティブ・ラーニング発想を入れた面白カタログ事典』(学芸みらい社)では、人間起こしを「3段以上のタワー」「ピラミッド→全員崩し」「四角錐(すい)を作る立体ピラミッド」とともに難易度、危険度が高い技だと紹介する。

 日本スポーツ振興センター(東京都港区)の災害共済給付件数に基づき、大阪経済大の西山豊名誉教授が2019年11月11日、人間起こしの事故統計を発表した。

 16~18年に全国の小中高校で起きた事故は145件で、小学校が115件と最多。年度別でみると、16年は48件、17年は49件、18年は48件と横ばいに推移する。

 3年間で最も多く事故が起きているのは、兵庫県で30件。以下、大阪府(18件)、埼玉県(13件)、愛知県(12件)、東京都(8件)と続く。

 ケガは頭部の39件が突出して多く、「頭部打撲」「頭部外傷」「外傷性脳出血の疑い」「脳挫傷の疑い」などが報告された。

くも膜下出血のリスクも

 西山名誉教授は取材に、人間起こしが行われる背景を「ピラミッドやタワーの段数規制があったり、廃止になったりで、それに代わるものとして取りあげられてきた」と説明する。

 東京都品川区の教委は以前、J-CASTニュースの取材に、人間起こしの意義を「心理学の技法なので、相手を信頼したり集団の人間関係を作り上げたりするのに役立つ。人間関係を高めようとの狙いで取り組む学校が多いと思う」と話していた。<参考:ピラミッド自粛で人気?組み体操「人間起こし」の危険性 重傷事故も...保護者「やめてほしい」>

 西山名誉教授は人間起こしの危険性を次のように話す。「受け止めに失敗すると、頭部から落下する危険性がある。頸椎損傷、くも膜下出血、脳損傷のリスクが考えられ、後遺症が残る可能性がある。土台は、児童生徒が密集しているので、足指の骨折などがある。上と土台の頭がぶつかり、ともに頭部打撲というケースもある」

 その上で、「危険だという事を訴え続けないと、人間起こしの事故件数は増え、重度障害事故が必ず起こります」と懸念する。

最多の兵庫県、組み体操廃止の自治体も

 事故が最多だった兵庫県をめぐっては、人間起こしを含む組み体操での事故が頻発しており、一部の自治体が対応を進めている。

 神戸市の久元喜造市長は8月2日、「小中学校での組体操。過去3年間に、123件もの骨折事故が起きているのに、教育委員会は継続を決めた。信じられない」とツイッターで投げかけ、中止を求めた。その後、神戸市教委は専門部会を設置し、来年度の組み体操の方針を協議すると発表した。

 また明石市教委は10月16日、小中学校での来年度の組み体操の実施を取りやめる方針を示した。

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)

最終更新:11/14(木) 7:00
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