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やなぎなぎ色、特濃。カップリング曲集アルバム『memorandum』インタビュー

11/14(木) 12:11配信

M-ON!Press(エムオンプレス)

2012年のメジャーデビュー以来、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『凪のあすから』ほか多数のアニメに楽曲を提供してきたやなぎなぎ。そんなタイアップ曲を表題曲とするシングルCDのカップリング曲を集めた新アルバム『memorandum』が11月13日に発売される。自身でも「自分の色が強く出ている」と語り、彼女の軌跡が色濃く綴られたこの1枚のリリースを記念して、アルバムのコンセプトや選曲理由、今後の予定について語ってもらった。

――なぜこのタイミングでカップリング曲集を出されることになったのでしょうか?

やなぎなぎ 今年の1月に『LIBRARY』と『MUSEUM』というシングルの表題曲を中心にした2枚のベストアルバムをリリースしました。その際に「カップリング曲が好きなんですけど、そっちを集めたものは出さないんですか?」「ベストアルバムに入っていない曲もまとめて聴きたい」と言ってくださるファンの方もいたので、「じゃあカップリング曲も集めてみるか」となりました。

――普段、カップリング曲はどんな思いで作っているのでしょうか。

やなぎなぎ シングルの表題曲は他の方に作曲していただくことが多いですが、カップリング曲はタイアップなどの制限も少ないので、そのときどきの自分の流行りや心情が出ていると思います。

――6thシングル「アクアテラリウム」のカップリング曲「mnemonic」のように、表題曲やそのタイアップ先のアニメ『凪のあすから』とリンクしたような曲もありますが、それは例外?

やなぎなぎ 「mnemonic」は、そのときの私が『凪のあすから』を好きすぎたから勝手に書いたみたいなところがあって(笑)。だから自分の色が出ているという意味では同じですね。

――今回のアルバムタイトルの『memorandum』は覚書という意味ですが、デビュー時からこれまでのパーソナルな曲を集めたアルバムと考えるとぴったりですね。

やなぎなぎ ありがとうございます。日記とまではいかないけど、忘れたくないようなこと……日々の走り書きを集めたので、このタイトルにしました。

――収録曲を選ぶためにこれまでのカップリング曲を聴き直されたと思いますが、作風の変化などは感じましたか?

やなぎなぎ そもそも曲の作り方が変わっているんです。昔はまずシンプルに曲を作ってそこに色や味を付けていくのが多かったんですけど、最近は最初にいちばん聴かせたい部分を分厚く作って、そこから要素を抜いていくというやり方になっていて。だから最近の曲ではメリハリみたいなものが感じられると思います。

――そうなった理由は?

やなぎなぎ そのほうが聴かせたい部分を印象付けられる、曲を洗練させられると思っているからでしょうか。あくまで今の考え方なので、また変わるかもしれませんけど。

――選曲はどのように進められたのでしょうか?

やなぎなぎ 今回は私が全部決めました。本当は全曲を入れたいくらいでしたが、収録できる曲数に限りがあるので悩みましたけど。最終的には自分がやってきたことや音作りの面で変化があった曲を中心に選びました。

――曲順はどのように決めましたか? こうしたアルバムの場合、時系列順に並べるという選択肢もあると思いますが。

やなぎなぎ 1枚通して聴いて起伏を感じてもらえるよう並べました。ただ、アルバムとしてまとめる想定でカップリング曲を作ってきたわけでないし、そのときどきでやりたいことがかなり異なるので曲にばらつきはあるんですけど……。でも思っていたより「ちゃんと1枚に収まってくれたな」という気がします。

――完成して聴いてみての感想は?

やなぎなぎ シングルの表題曲はそれぞれのアニメの世界観に自分が持っているものを乗せることになるんですけど、カップリング曲はその別の世界の要素がなく自分が感じてきたことしか出てこないんですよ。だから歌詞や音の面で自分らしいものが揃っていると感じました。

――そのおかげで、1枚のアルバムとして違和感なく聴けるのかもしれませんね。ベストアルバムのほうには新曲も入っていましたが、今回も入れる考えはありましたか?

やなぎなぎ 今回は考えていませんでした。あくまで“覚書”なので、改めて書くのも変かなと思って。

――たしかに。それでは今回の収録曲について伺いたいと思いますが、特に思い入れのある曲は?

やなぎなぎ どれも思い入れがあるので悩みますが……まずは1曲目の「キミミクリ」です。これは13thシングル「瞑目の彼方」のカップリング曲ですが、その「瞑目の彼方」の曲を作ってくださった鷺巣詩郎さんは、私の音楽的なルーツである北欧のエレクトロニカをベースにしたアレンジをしてくださったんです。その頃はちょうどデビューしてからいろんな作家さんとやってきて自分の活動が一巡したかなというタイミングでもあって。そんな偶然が重なって、「もっと自分の聴きたい音を素直に書いてみよう」と思って作ったのが「キミミクリ」でした。

――その後の楽曲制作に影響はありましたか?

やなぎなぎ 「もっと自分の好きに作りたい」とか「あまり凝らずに」というふうに作るようになったとは思います。ただ無意識に「人に聴かせるためにもう少しかっこよくしなきゃ」という気持ちもあったかもしれませんけどね。

――3曲目のTVアニメ『色づく世界の明日から』挿入歌「color capsule」は初めての音源化ですよね?

やなぎなぎ そうなんです。『色づく世界の明日から』のサントラにも入っていなくて。

――クライマックス中のクライマックスで流れた曲だけに、待っていた作品ファンも多いのでは。

やなぎなぎ 今回やっとお届けできます。この曲は最初にアニメ制作側から「最終話のこういうシーンで使いたい」というイメージを伺い、そこから自分なりに「大切なものを取り戻すってどんなことだろう」と考えてタイムカプセルをテーマに詞を書きました。タイムカプセルって、どんな大切なものを入れても取り出すときには何を入れたかあまり覚えていないじゃないですか。でもタイムカプセルの蓋を開けたときに忘れてたものが一気に流れ込んでくる。その記憶の点と点が線で結ばれるみたいな感覚を曲にしようと思い、作りました。

――ファンにとっても、この曲があの名シーンを振り返るきっかけになればいいですね。やなぎさんはあのシーンを観られていかがでしたか?

やなぎなぎ 自分の曲ということを忘れて普通に泣いていました。「これはあかん」と思って(笑)。

――なるほど。他に印象的な曲はありますか?

やなぎなぎ 6曲目の「halo effect」(2ndシングル「Ambivalentidea」収録)でしょうか。これはハロー効果――何か評価があると他の評価が歪められてしまう、例えば「この人は頭がいいから運動もできるだろう」みたいな。そんな心理学用語をテーマに歌詞を書いたんですけど、実は10曲目の「想像の君」(17thシングル「間遠い未来」収録)も似たようなテーマなんです。私も好きなアーティストに対して「こういう曲を作っている人はこういう人なんだろう」なんて想像をすることはありますが、もし違ったときにガッカリしちゃう怖さがあるじゃないですか。そうはなりたくないなという気持ちを書いたんですけど、「halo effect」のときの気持ちがまた蘇ってきたなと感じました。

――「halo effect」は次の「Surrealisme」(5thシングル「ユキトキ」収録)と合わせて今回のアルバムの中盤の盛り上げどころですが……。

やなぎなぎ サウンド的には盛り上がってるけど、歌詞は暗いんです(笑)

――そうしたギャップの面では、最後に収録された「replica」(4thシングル「Zoetrope」収録)が印象的です。シンプルなピアノだけの曲で歌詞はネガティブですが、やなぎさんはこのシングルをリリースされた際のインタビューで「私にとっては門出の歌」とおっしゃっていて。

やなぎなぎ 言葉はネガティブですけど、全然暗くなりたくて作っているわけじゃないんです。「こういう不安もあったけど、書いたからスッキリした」となるために作っているので。

――カップリング曲はパーソナルなものだというのがよくわかる話です。

やなぎなぎ 「replica」を作っていた頃は、世の中には音楽が溢れていて自分がオリジナルだと思っていることもすでに誰かがやってるんじゃないかという不安が常にあって。そんなモヤモヤも曲に書いたことでおしまいにしたので、私には門出の歌なんです。だからその不安や前向きな気持ちが集約されたこの曲をアルバムの最後に配置しました。

――今後の活動への期待が高まる締めですね。先ほどカップリング曲は自由という話がありましたが、「今後こういう曲を作ってみたい」という展望はありますか?

やなぎなぎ やりたいことはいろいろありますが……この前、仲間内では香り付きCDを出したいという話をしました。時が経っても匂いと共に楽曲を思い出す、みたいな(笑)。でも次にシングルを出すときに、自分の中で何がブームになっているか次第ですね。

――楽しみにしています。そして初回限定盤の特典として付属するBlu-rayには、6月9日に東京・国際フォーラムで行われた「やなぎなぎ ライブツアー2019 -LIBRARY- & -MUSEUM-」追加公演の模様が収録されています。ベストアルバムのツアーということもあってやなぎさんの代表曲は押さえられていますね。

やなぎなぎ カップリングを集めたアルバムと合わせて、ほぼコンプリートアルバムみたいな(笑)。このツアーはバンド編成とアコースティック編成の2パターンでやっていたんですけど、東京公演はバンド編成だったので、アコースティックVer.を見てくださった方も新鮮に見られると思います。ステージが広く、映像演出も取り入れられたので視覚面でも楽しめますし。

――特に観てほしいと思ったシーンを教えてください。

やなぎなぎ 終盤の「夜明けの光をあつめながら」から「ターミナル」まで、MCなしのノンストップで7曲歌ったところですね。歌に入りすぎて頭が真っ白になることがよくあるので、いつも「客観的に自分を見られるようにしなきゃ」と思っているんです。でも「オラリオン」辺りではライブが終わっちゃう寂しさと曲に入りすぎちゃった感情が歌に出ていて逆によかったかなと。

――注目して観てみます。ライブと言えば12月にはふたつのライブが控えていますね。まずは今回のアルバムを引っさげてのワンマンライブが12月7日に行われます。

やなぎなぎ カップリング曲だらけのライブなんてなかなかできないので、これを機にカップリング曲推し推しでいきます。私の色がすごく出るライブになると思うので、ファンの皆さんはもちろんですが、シングルの表題曲しか聴いたことないけど「やなぎなぎってどんな人?」と興味を持っている方にもぜひ来ていただきたいです。

――そして韓国・ソウルで12月14日に行われる“リスアニ!LIVE SEOUL”にも出演していただきます。

やなぎなぎ 私、プライベートでも韓国に行ったことがなくて。どんな雰囲気になるのか想像もできないんですけど、それも含めて初めての場所がで歌えるのは楽しみです。海外でのライブって日本とはまた盛り上がり方が違うので、どんな曲で盛り上がれるかワクワクしています。

――すでに選曲はされているんですか?(インタビューは10月末に実施)

やなぎなぎ まだです。国によってどんな曲が人気なのかわからないので、海外でライブをする際はまず下調べするんですよ。

スタッフ 人気のアニメや曲を現地の人に聞いたりして。アニメが配信されているかどうかとかもあるので。

――たしかに、いざ行って「現地では『俺ガイル』をやってませんでした」となるとお互いに切ないですしですね。

やなぎなぎ (笑)。海外でもっと頻繁にライブできるなら「いろんな曲をやろうかな」となりますけどね。韓国も次にいつライブできるかわからないので、一番盛り上がる曲をやりたいです。

Interview & Text By はるのおと

●リリース情報
やなぎなぎ
『memorandum』
11月13日発売

【初回限定盤(CD+Blu-ray)】

品番:GNCA-1564
価格:¥6,000+税

【通常盤(CD)】

品番:GNCA-1565
価格:¥3,000+税

<CD>
01. キミミクリ
02. インテンション・プロペラント
03. color capsule (TVアニメ「色づく世界の明日から」挿入歌)
04. 音のない夢
05. in flight
06. halo effect
07. Surrealisme
08. 真実の羽根 (TVアニメ「ヨルムンガンド PERFECT ORDER」挿入歌)
09. Rain
10. 想像の君
11. 鱗翅目標本
12. helvetica
13. link
14. replica

<Blu-ray>
6月9日に東京・国際フォーラム ホールCで行われた「やなぎなぎ ライブツアー2019 -LIBRARY- & -MUSEUM-」追加公演のライブ映像収録!

●ライブ情報
やなぎなぎ ワンマンライブ memorandum
2019年12月7日(土) 開場:16:30/ 開演:17:00
会場:東京・Zepp DiverCity Tokyo
カップリング曲アルバム「memorandum」の発売記念ライブ

●イベント情報
リスアニ!LIVE SEOUL
12月14日(土)開場 18:00/開演 19:00(予定)
出演アーティスト:綾野ましろ/スフィア/中川翔子/KIHOW from MYTH & ROID/May’n/やなぎなぎ
会場: KINTEX第2展示場 7/8ホール(韓国・ソウル)
「Anime×Game Festival2019」内イベントステージ

チケットなど詳細はこちら
※上記サイト日本語対応無し

関連リンク
やなぎなぎオフィシャルサイト

最終更新:11/14(木) 12:11
M-ON!Press(エムオンプレス)

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