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思い入れがあるからこそ…「伴侶の死に際」に生前整理を考えてみる

11/14(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【生前・遺品整理の作法を紹介します】#6

 部屋に入って目に飛び込んできたのは床の見えないゴミの山。弁当ガラなどがうずたかく積まれ、トイレの扉は開かない。キッチンには生ゴミがたまり、異臭が漂っている。

「80代、一人暮らしの男性の遺品整理だったのですが、ゴミを掘り出すと意外なものが出てきました。女性ものの着物やたくさんのアルバム。雑然とした部屋にもかかわらず、棚には整然と並んだレコードや未開封の洋酒の瓶が。もともとは結婚をされていて、家族もいた。おそらく趣味のレコードを聴きながらグラスを傾けるといった穏やかな生活をしていたに違いありません。しかし、何らかの理由で家族と別れ、それから足腰が悪くなり、ゴミをため込んでしまった。そして誰にも助けを求めることができず孤独死に。そんなストーリーが頭をよぎりました」

 この男性にも温かい家族があったのだろう。

 分譲マンションに住む70代女性のケース。ゴミをため込んでしまい、部屋から悪臭や害虫が発生するため、近所から苦情が寄せられていた。

「ご本人から片付けの依頼を受けたのですが、直前にキャンセルということが2度続きました。なんとかしないといけないと思いつつ、捨てることに不安を感じるといった葛藤があったのでしょう。マンションの管理人やケアマネの手を借りながら、なんとか片付けにこぎ着けたのですが、周囲の助けがなければ難しかったことでしょう」

 一戸建てに一人暮らしをしていた80代の男性のケース。この男性は奥さんの一周忌を機に家を売却し、近所のマンションに引っ越しすることにしたのだという。

「奇麗好きだったこともあり、6LDKもある家の掃除が負担になったことが決め手になったようです。戸建ての家は若い夫婦が購入し、新しい家主に恵まれた。もっとも、男性は引っ越し前からの近所付き合いを継続。趣味の麻雀を楽しんでいるのだといいます。ミニマリストが流行していますが、持ちものを減らすことで身軽になり、男性は自由な生活を手に入れることができたようです」

■専門家に頼むのが早道

 住まいへの思い入れはひとしお。長年のローンを払い終わり、それを手放すことを躊躇する人は少なくない。

「先祖から引き継いだ家だから手放せない、帰省先がなくなるのは寂しいといった気持ちもあることでしょう。しかし、それでは暮らしにくい家に親御さんを縛りつけてしまうことになりかねません。ましてやゴミ屋敷になってしまえば、周囲にも迷惑をかけますし、資産価値も落ちてしまう。元気なうちに新たな生活スタイルへと導くのが子の務めかもしれません。ゴミ屋敷になる前に一度、家族で話し合ってみる。口では、『まだまだ、大丈夫』と言っている親御さんでも気持ちは諦めモードに入っているかも。そんな空気を一変させるために私たちのような生前整理業者に依頼するのも一手ではないでしょうか」

 ため込んだものをスッキリと片付ける生前整理は、心の整理にもつながる。=おわり

(屋宜明彦/家じまいアドバイザー 構成=中森勇人)

最終更新:11/15(金) 9:20
日刊ゲンダイDIGITAL

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