ここから本文です

大腸がん<2>放射線治療 寿命延ばす効果は期待できそうもない【ガイドライン変遷と「がん治療」】

11/14(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【ガイドライン変遷と「がん治療」】大腸がん #2

 大腸がんでは、ステージⅡ以上の直腸がんに補助放射線療法を行うことがあります。結腸がんの多くは腺がんで、放射線はあまり効きませんが、直腸では扁平上皮がんが多く、放射線が効果を発揮しやすいのです。

 照射のタイミングによって「術前」「術中」「術後」照射に分かれます。

 すでに確立された治療であるため、治療ガイドラインの初版(2005年)から最新版(19年)まで、内容はあまり変わっていません。ただ第3版(10年)までは大ざっぱな記述のみでしたが、第4版(14年)以降は詳しいコメントやエビデンスが載るようになり、現在に至っています。

 術前照射は、腫瘍を縮小させることで手術を容易にすることと、肛門をできる限り温存することを目的として行われます。最新版によれば「肛門括約筋温存率と切除率の向上が得られることが示唆される」と書かれており、一定の効果があるようです。ただし術後の生存率まで改善するかというと、現時点では「エビデンスは存在しない」と記されています。また、放射線障害による後遺症も少なからずあるようです。

 術後照射は手術後6~8週間までに開始することが望ましいとされています。照射によって再発率は低下しますが、「生存率の改善はもたらさない」とも書かれています。

 大腸がんの手術では、注意していても切断面からがん細胞が腹腔内に散らばってしまうことがあります。あるいは周辺のリンパ節に、目に見えない転移があることもあります。そのため、手術中に放射線を当てることがあります。それが術中照射です。ただ効果のほどは、治療ガイドラインには書かれていません。

 つまりいずれの照射も、寿命を延ばすほどの効果は期待できそうもないということでしょう。また一度、放射線を当てると、周辺臓器がダメージを受けるため、「適応の原則は骨盤内に放射線治療歴がないこと」と明記されています。以前に子宮、卵巣、腎臓、膀胱などで放射線を受けたことがある人は治療対象から外れますし、そうでなくても大腸がんの放射線治療は、生涯一度きりというわけです。

 とはいえ、放射線単独の治療は少なく「化学療法との同時併用が標準的」とも記されています。

(永田宏/長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授)

最終更新:11/14(木) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事