ここから本文です

「洋服の青山」赤字転落…構造不況に突入した紳士服チェーンの今後

11/14(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【プロはこう見る 経済ニュースの核心】

 少子化、団塊の世代の大量退職にオフィス衣料のカジュアル化……もはや、「構造不況業種」(市場関係者)と言ってもよかろう。紳士服量販店チェーンのことだ。

「洋服の青山」を展開する業界最大手、青山商事は先週8日、2020年3月期の最終損益が20億円の赤字(前期は57億円の黒字)に転落する見通しだと発表した。最終赤字は1964年の創業以来、初めて。

 コナカも19年9月期の最終赤字幅が前期の4・93億円から53億円に拡大。はるやまホールディングス(HD)とAOKIHDも20年3月期上期(19年4~9月)は揃って最終赤字を記録した。

 青山商事は当初、今3月期の営業利益を120億円(前期比18・0%減)、純利益を68億円(同18・8%増)と見込んでいた。それを8月に113億円、30億円にそれぞれ減額修正。今回、早くも2回目の下方修正を余儀なくされる形で、営業利益は前期比38・5%減の90億円にまで下振れ、最終損益は一転、水面下へと沈む。

 最終赤字に陥る最大の要因は米国から導入したカジュアル衣料品ブランド「アメリカンイーグル」の不振だ。「脱スーツ」の一環として事業を推進してきたが、思うように売り上げが伸びず、12月末で撤退。これに伴い事業整理特損69・98億円の計上を強いられる。

 ただ、これまでは多角化事業で多少の損失が生じても“本業”の儲けで何とか穴埋めできていたが、今期はそれすらままならない。「洋服の青山」の既存店売上高は、消費増税前の駆け込み消費で8、9月こそ前年同月比プラスだったものの、それまでは10カ月連続の前年割れ。駆け込み需要が剥げ落ちた10月は同27・9%もの大幅マイナスとなるなど、ビジネスウエア事業の営業損益は赤字に陥る見通し。幹部からは「事業自体厳しい状況だ」といった苦悶さえ漏れる。

 青山商事では「大幅値引きなど、価格で競争してきたこれまでのビジネスモデルを転換し、顧客ニーズに寄り添った形に変えていきたい」(山根康一常務執行役員)としているが、その方向性はいまだ見いだせていないようにもみえる。

(重道武司/経済ジャーナリスト)

最終更新:11/14(木) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事