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原作アニメの世界観を担った玉城ティナと、現実世界からスライドした森 七菜の邂逅がもたらした、新たなる『地獄少女』。

11/14(木) 17:58配信

M-ON!Press(エムオンプレス)

「いっぺん、死んでみる?」。閻魔あい、そして三藁という“執行人”たちの存在を介して、人の心の奥底に潜む負の感情を浮き彫りにした衝撃のダークファンタジーアニメ『地獄少女』が、数々のメディアミックスを経て、ついに実写映画化を果たした。

【画像】映画『地獄少女』玉城ティナ&森 七菜インタビュー

主演を務めるのは、『Diner ダイナー』や『惡の華』で立て続けに強烈なキャラクターを演じて注目を集めた玉城ティナ。今作でも持ち前の“画ヂカラ”を遺憾なく発揮して、極めて二次元的な存在のキャラクターである閻魔あいに、見事なまでの実在感を吹き込んだ。一方、負の感情を抑えきれずに「地獄通信」にアクセスする女子高生・美保には『天気の子』のヒロイン・陽菜の声を演じて脚光を浴びた森 七菜をキャスティング。日常的な空気を『地獄少女』の世界に吹き込み、作品を新たな境地へといざなっている。今回はそんな2人に、お互いに感じたこと、思ったことを存分に語ってもらった。

取材・文 / 平田真人 撮影 / 増永彩子

様々な役どころを重ねてきての“今”。キャラクター性の強い作品で主役やヒロインに配していただいけることに感謝。(玉城)
ーー 『地獄少女』の本編を観ればわかることですが、お2人がこうして顔を会わせるのは、ちょっとレアなんですよね。

玉城 そうなんです。森さんとは特殊な絡み方だったので、ちょっと不思議な感じがしていて。打ち上げでは何となく会話をしたんですけど、どう呼んだらいいかな、と思ったり(笑)。森さん? 森ちゃん? 

森 呼びやすい名前で大丈夫です。「なな」や「もりなな」とか(笑)。

玉城 いきなり呼び捨ては、ちょっと(笑)。じゃあ、今日は「森さん」でいきますね。

ーー 玉城さんからご覧になった森さんの印象というのは?

玉城 私自身、お仕事を始めたのが14歳くらいだったので、わりと年上の人がたくさんいる現場が多かった印象だったんですけど、気づいたら年下の方がどんどん増えてきていて(笑)。森さんの演技と存在感にはすごく圧倒されましたし、試写を観て「私もお芝居をもっとがんばりたい」と、あらためて思わされました。

森 いえいえいえ…そんなっ。

玉城 この映画での美保(森)の良い意味での “普通っぽさ”というのは、私には出せないと思いました。

ーー そのぶん、玉城さんの閻魔あいには突出した「画ヂカラ」の強さがありますよね。

森 異次元の美しさがあると思います!

玉城 たまたま最近はキャラクター性の強い役が続いているだけであって。学生役をはじめ、いろいろな役どころを重ねてきての“今”なんです。ここ、ちょっと強調しておいてください(笑)。

ーー 特に今年は、『Diner ダイナー』『惡の華』と立て続けにインパクトの強い役を演じていらっしゃいますしね。

玉城 はい、キャラクター性の強い作品で主役やヒロインに配していただいけるというのは、本当にありがたいことだなと思います。

森 私は反対に、キャラクター性の強い役を演じてみたいなっていう気持ちがあるんです。

玉城 でも、“普通”っていう役が実は一番難しいと思っていて。そもそも“普通”の解釈の仕方にもいろいろあって、「普通って何だろう?」と考えてしまったり。

ーー なるほど…ちなみに、それぞれ今回の役でいうと、どんなことを意識されたのでしょう?

玉城 元々、原作を小学生のときに読んでいたので、閻魔あいが独特で圧倒的な存在感を誇るキャラクターであることと、だいたいのストーリーはわかっていたんですけど、実際に「閻魔あい」を演じると聞いたときは、単純に驚きの方が大きかったですね。どっちかというと戸惑いの方がありました。

森 玉城さんの閻魔あいと対峙した時、ものすごく圧倒されました。私もアニメ版を観ていたので、実写化するって聞いた時に「どなたがどんなふうに演じられるんだろう」って気になっていたんですけど、一緒のシーンで初めて対面して…「わっ…あいちゃん、だっ!」と思って、ただただビックリしてしまって。もう…出で立ちとか立ち振る舞いが、良い意味で「人じゃないな」っていう感じがしたんです。

玉城 人だけどね(笑)。でも、ありがとう。それって最高の褒め言葉だなぁ。

森 本当にそう思ったので、はやく原作ファンの方々をはじめとして、公開を楽しみにしてくださっているみなさんと共有したいなという気持ちでいっぱいです。

玉城 うれしいです(笑)。

ーー 森さんは美保を演じる上で、どういったことを心がけていたのでしょう?

森 『地獄少女』に登場するキャラクターは、みんな個性豊かで魅力的な人たちばかりなんですけど、美保は唯一、普通で平凡な引っ込み思案な女の子なので、非現実的なテーマの中でも、「もしかしたら本当に起こり得るかもしれない」と思ってもらえるような存在になれたらなと思っていました。なので、自分なりの“普通”というところを意識した部分が大きかったです。

ーー そんなお二方のお芝居に、緻密と言われる白石晃士監督の演出は、どのような作用をもたらしたのでしょうか?

玉城 閻魔あいに関しては、白石監督から任せてもらったような感じがあって、本読み(台本の読み合わせ)もないまま、現場で調整を重ねていくような感じでした。閻魔あいは厳密には人間ではないので、これまでの演技の仕方とはまったく違って、ほとんど直立姿勢で、目線と声で動きを表現しました。アニメやドラマ版の『地獄少女』も何回も拝見して、自分の声を携帯にレコーディングして聞き直して…という、地味な作業を続けつつ、閻魔あい像を立体化していったという感じでした。そう思うと、実は細かいところを考えていたんだなぁ、と。
閻魔あいの声というと、アニメ版で声優を務められている能登麻美子さんのイメージがやっぱり強いと思うんです。なので、能登さんのラジオ番組を聞いたりして、参考にさせてもらいました。ただ、コピーをするわけじゃなくて、あくまでベースに能登さんの声があると言いますか、参考にしながら私が演じたとしても、まるっきり同じものにはならないだろうという確信もあったんですよね。

ーー それと、閻魔あいは瞬きをしていないんですよね。

玉城 そうなんです。呼吸もあまり深くしていないと言いますか…大きく吸うと肩とか動いちゃうので、身体的な部分でのお芝居が難しかったですね。感情面では特に動きがないので、精神的にはわりとフラットに演じられたんですけど、身体面からのアプローチがわりと大変でした。

ーー 『惡の華』の仲村さんもそうですけど、二次元を立体化する時の玉城さんのハマり方って、すごいものがありますよね。ちなみに、お2人は数少ない共演シーンで、お互いにどんなことを感じていたのでしょうか?

玉城 撮影中もっとお話したかったんですけど、私の役柄的にスンッとしていますし、森さん以外のみなさんとも共演シーンがけっして多いわけではなかったので、何かもったいないなと思いながら現場に来ていました(笑)。でも、森さんとのシーンは美保の感情がワーッと出てくるシチュエーションだったので、私も(森に)引っ張られちゃいそうな感覚があって。短いシーンながら、すごいなと思いながら森さんを見ていました。

森 いつも、感情が大きく振れるシーンは「集中していこう」っていう心構えをするんですけど、玉城さんとご一緒させていただいたシーンだけは、それを意識的にせずとも、自然と引かれていくような感覚があったんです。自分が自分じゃないみたいな感じになったというか。後から思ったんですけど、それこそ玉城さんの吸引力に呑み込まれて、お芝居ができたんだなって。スゴい方だなぁって感じました。

ーー 瞬きの件もそうですけど、目線を対象に合わさないというのは、閻魔あいが世俗的なものを見ていないということなのでしょうか?

玉城 コミュニケーションの仕方自体も少し異様なものにしたかったというのがありました。あとは、瞬きをしてしまうと、それこそ人間っぽくなってしまうのかな、と思ったんです。そこを回避したかった、という意図が私の中にはありました。

ーー 人であって人ではない、曖昧な存在でもありますよね。

玉城 そうですね、ちょっと次元が違う感じというか。

森 私からすると、本当に血が通っているのかいないのかが、現場ではわからないように感じられたんです。

玉城 フフフ、幸か不幸か実際には通っております(笑)。

森 本当は血が通っているはずなのに、そう見せないところがすごいなと思ったんです。ただただ、圧倒されました。

ファンタジーなのかホラーなのかっていう…境目のわからない感じに惹かれます。(森)
ーー 森さんの美保は実写映画のオリジナルキャラクターでしたが、玉城さんは原作やアニメという二次元を超えていく必要性があったわけです。演じた人にしかわからないプレッシャーがあると思うのですが、いかがでしょう?

玉城 そうですね…今回はオリジナル脚本ということで、閻魔あいと三藁(あいと共に復讐対象者を地獄に送る3人衆)のパートと人間ドラマの物語パートが釣り合ってこそ成り立つ世界観になっていたという印象が私の中ではありました。これがあまりにも二次元をなぞったような話だったり、閻魔あいや三藁に感情が入りすぎていたストーリーだったなら、もっと立体化することが難しかったのかなって正直思っているので、そういう意味ではすごく良いバランスだったんじゃないかなと思っています。

ーー なるほど。それと、劇中ではお二方とも歌を披露されていますね。玉城さんは登場シーンで童謡を、森さんはオーディションのシーンでアカペラで歌っています。

玉城 映画のワンカット目からして閻魔あいの歌で始まるので、そこはすごく私自身もこだわったところではあります。ただ、歌っている時に変なところで沖縄訛りが出て、現場ではちょっと苦戦しました。

森 私は、わざとヘタに歌いました。ということにしておいてください(笑)。結果的にオーディションには受からないので、多少デフォルメしましたけど…う~ん(笑)。

ーー 心得ました(笑)。では、劇中の美保のように、学校で生活するために必要な居場所を確保するための友達か、学校での居場所がなくなったとしても気の合う友達のどちらかを選ぶことになったとしたら、どうしますか?

玉城 自分の中高生時代もそうでしたけど、教室の雰囲気って少し異様だったなって思うところがあって。気の合う合わないは別として、何となくグループとして固まっていたり。それで居場所ができるのならいいんじゃないかなと思いますし、卒業して“世界”が学校だけじゃないってわかったら、また変わっていく。それぞれが自然と、自分が進みたい道だったり、抑えていた自分自身の人間性を出して生きていくと思うんです。私自身、中学までは沖縄にいたんですけど、いまだに地元の友達とも、高校でできた友達とも仲良くしていて、どっちの方が大切かなんて選べないのが本音です。ただ、学生時代にできた友達というのは、すごく特別な存在ではあります。

森 私はリアルに高校3年生として──。

玉城 あ、森さんって現役の高校生だったんだ!

森 はいっ。今、玉城さんがおっしゃったように「教室が異様だった」という言葉がグサッときました。少なからず無理をしてでも居場所をつくっているようなところがあるなって。でも、どっちかを選びなさいって言われたら…気の合う友達の方がいいかなぁ。ただ、無理をしてでも誰かといないと不安になってしまうことって、学校生活の中では確かにあると思います。私、今も(地元の)大分と東京を行き来しているんですよ。

玉城 はぇ~! こっち(東京)に住んでいないんだ?

森 はい。なので、大分に帰って誰も仲の良い人がいないっていうのも不安になってしまうので、どっちとも楽しくやっていきたいと思ってはいます。

ーー なるほど。では、劇中のキャラクターたちが自身の運命と引き換えに閻魔あいに復讐を依頼するように、自分を犠牲にしてでも守りたいものは何かありますか?

玉城 登場人物たちのように自分が犠牲になってでも誰かを助けたい、という気持ちに寄り添うことはできるんですけど、私自身はそうなるまで放っておかないと思うんです。自分の人生を潰したり、自分が犠牲を負ってまで誰かを助けるっていう手前のところで話し合いたいなって。そうしないから極限状態になっていくと思うので。でも、私たちが生きているのが閻魔あいに依頼することなく仲良くしていく道を追求できる世界線で良かったなと思っています。

森 守り抜きたいものか…平和、とか? 

玉城 同じ。平和、大事!

森 今、本当に些細なことが楽しいんです。それこそ高校に行って、冷房をつけるつけない、教室が寒いとか寒くないとか…些細なことを言える日常が本当に愛おしくて。なので、そういう平和が…もし私がいることで壊れるくらいなら、いなくなってもいいんじゃないかなと思えるくらい、愛しく思えています。

ーー 森さんがいなくなったら、悲しむ人が日本中にたくさんいると思います。ともあれ、『地獄少女』は、2005年にアニメが始まった時も、圧倒的に若い女子たちから支持を受けたと聞きます。彼女たちがこの世界観に惹かれるのは、どこに理由があるんでしょう? けっして自己犠牲を尊ぶ話でもないですし、単なる復讐劇でもないですし…何なのだろうかと思いまして。

玉城 『地獄少女』が15年近くずっと支持されているというのは、人間の本質的なものや普遍的な問題が、この作品の中にはすごく入っているからだと思うんです。「人を呪わば穴二つ」というセリフもありますけど、そうまでして何かを守りたいという気持ちというのは、現実の世界ではあんまり表面化できないと思うんですけど、『地獄少女』という作品ならではの、閻魔あい以外の登場人物たちが感じる正義感みたいなものが、観ている人たちに突き刺さってくるんじゃないのかなって。今回、閻魔あいとして作品の世界に入らせてもらったものの、極力フラットな目線で俯瞰して起こる出来事を見ていくようにしたんですけど、試写でも各キャラクターごとの人間関係だったり、心の動きみたいなものにリアリティーがあるなと感じたんですよね。そういった原作の本質的な部分というのを、実写映画版でも引き継げているんじゃないかなと思っています。

森 玉城さんが今おっしゃったことに、本当にそうだなって思います。あとは、閻魔あいのビジュアルって、ほかの作品にはない美しさというか、妖艶な感じとか、良い意味で不気味な雰囲気とか、美術作品を見ているような感覚もあるんですよね。それでいて、ジャンルもファンタジーなのかホラーなのかっていう…そういう境目がわからない感じが、女の子が見ていても惹かれるし、心地がいいんだろうなと私は思っています。

玉城ティナ
ヘア&メイク / 今井貴子
スタイリスト / 丸山佑香(まきうらオフィス)

森 七菜
ヘアメイク / 佐藤 寛
スタイリスト / 小泉美智子

玉城ティナ
1997年、沖縄県生まれ。主な出演作に『天の茶助』(15)、『PとJK』(17)、『わたしに××しなさい!』(18)、『ういらぶ。』(18)、『チワワちゃん』(19)『Diner ダイナー』(19)『惡の華』(19)などがある。今後、出演映画『AI崩壊』(2020)の公開が控えている。

オフィシャルサイト
http://tina-official.com/

オフィシャルTwitter
@tina_tamashiro

オフィシャルInstagram
@tinapouty

森 七菜
2001年、大分県生まれ。主な出演作にTVドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(NTV/19)、『東京喰種トーキョーグール【S】』(19)『天気の子』(19)『最初の晩餐』(19)などがある。今後は、出演映画『ラストレター』(20)の公開が控えるほか、2020年前期に放送される連続テレビ小説『エール』(NHK)に出演。

オフィシャルサイト
http://ar-bre.jp/talent/nanamori.html

オフィシャルInstagram
@morinana_official

映画『地獄少女』
11月15日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー

【STORY】
―午前0時に開く秘密のサイト「地獄通信」―
「ねえ、知ってる? 夜中0時にだけ開くサイトで依頼すると、地獄少女が現れて、恨みを晴らしてくれるんだってー」都市伝説の話題に沸く女子高生、そのグループになじめず、浮かない表情を浮かべるのは市川美保(森 七菜)。
大好きなアーティスト、魔鬼のライブで知り合った南條 遥(仁村紗和)に魅了された美保は、遥とともに魔鬼ライブのコーラスのオーディションを受けることに。受かったのは遥。やがて少しずつ様子がおかしくなっていく遥を心配した美保は、魔鬼が、遥をライブで行うの生贄にしようとしていることを知り、噂のサイトにアクセスするー。

出演:玉城ティナ/橋本マナミ 楽駆 麿 赤兒/森 七菜 仁村紗和 大場美奈(SKE48)/森 優作 片岡礼子 成田瑛基/藤田 富 波岡一喜
主題歌:GIRLFRIEND「Figure」(エイベックス)
劇中歌:V.A「地獄少女」劇中オリジナルソングス(アルテメイト)
監督・脚本:白石晃士
原案:わたなべひろし
原作:地獄少女プロジェクト
製作:NBCユニバーサル・エンターテイメント 藤商事 ギャガ ギャンビット
制作プロダクション:ダブル・フィールド
配給:ギャガ

(c)地獄少女プロジェクト/2019映画『地獄少女』製作委員会

オフィシャルサイト
https://gaga.ne.jp/jigokushoujo-movie/

原作アニメの世界観を担った玉城ティナと、現実世界からスライドした森 七菜の邂逅がもたらした、新たなる『地獄少女』。は、【es】エンタメステーションへ。

最終更新:11/14(木) 17:58
M-ON!Press(エムオンプレス)

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