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『ドクターX』の気分高まる音楽 「パワーソング」の法則を音楽P・亀田誠治が解説

11/14(木) 10:00配信

オリコン

 今期ドラマで高い視聴率を獲得している『ドクターX~外科医・大門未知子~』。今回の主題歌として、洋楽からP!NKの「ソー・ホワット」が起用されています。米倉涼子さん扮する、社会の不条理に流されずに活躍する強い女性の姿を描いた物語と、力強くて元気をもらえるパワーソング的な主題歌の相性はバッチリ。今回は、聴く人誰もが元気をもらえる「パワーソング」のレシピについて考えます。

【写真】強い女性を印象づけるP!NKのジャケット

 洋楽のパワーソングといえば、P!NK以外にもケイティ・ペリーやテイラー・スウィフト、レディー・ガガなどがイメージできます。彼女たちに共通するのは、作品やMVのメッセージ性だけでなく、TwitterなどのSNSで自ら「YES・NO」を発信し、1人の女性としての生き方を明確に表明しているところです。実際、彼女達は数千万単位のフォロワーを誇ります。

 さらに、サウンドの傾向も見逃せません。パワーソングのほとんどは、デジタルの打ち込みのトラックで作られており、前へ前へと推進する4つ打ちのキックや、 サビでドカンと炸裂する音圧で、ラジオやTVでの掴みが強い! 音楽の聴かれ方がストリーミングに移行する以前から、ニーズがありました。

 さらに、誰もがシングアロングできるコーラスパートが生むリスナーとの一体感も特徴です。たとえ歌詞がなくても、あなたは1人じゃない、私たちはチーム、さあ胸を張って行くのよ、といった力強いメッセージが“なんとなく”伝わってくるのです。これが言葉の壁を超えてパワーソングが全世界で愛される所以です。

「ソー・ホワット」をプロデュ-スをしているのは、2000年代の全米チャートの打点王とも呼べるプロデュースチーム、マックス・マーティン&シェルバックによるものです。彼らはスウェーデン出身で、R&BとカントリーのDNAを強く持つアメリカのPOPミュージックに、アバやカーディガンズを生んだスウェーデンらしい(ある意味J-POP的な)ワビサビをトッピングし、誰もが口ずさめる、踊れるPOPミュージックで全米を制覇しました。「ソー・ホワット」でも、キャッチーなマイナーギターリフのヒラ歌から、サビでメジャーコードに移る時の高揚感がとても効果的ですよね。

 そしてマックス・マーティンは、「パワーソング」の達人です。ケイティ・ペリーの「ティーンエイジ・ドリーム」、ケリー・クラークソン「ウィズアウト・ユー」、ワン・ダイレクション「キス・ユー」、テイラー・スウィフト「シェイク・イット・オフ」など、数え切れないヒット曲を量産しています。量産の秘訣は、トラックメイキングを分業制にして、サウンドプロダクションチームに委ねているから。例えば「ソー・ホワット」のようなEDM系は、若手プロデューサー、シェルバックのサポートを得ているというわけです。マックス自体は70年代、80年代の古き良きポップミュージックのメロディーメーカーの立ち位置をくずさない。ここに2008年のヒット曲が2019年に海を超えて、ここ日本でヒットする秘密があるのです。

 今回の「ソー・ホワット」の主題歌起用から見えてくるのは、近年、ヒット曲がリバイバルされる周期がどんどん短くなってきていることです。例えば、ドラマ『同期のサクラ』では森山直太朗の「さくら(独唱)」(2003年)が「さくら(二〇一九)」として再び注目されています。僕も、東京事変時代に書いた「透明人間」(2006年)が、昨年CMタイアップに使われることになってびっくりしました。インターネットとSNSで誰もが音楽を積極的にアーカイブできる今の時代、リスナーの感受性の周期がとても早くなっています。いい曲は何度でも立ち上がる―P!NKの主題歌起用から、そんなポジティブなヒントが見えてきます。

最終更新:11/14(木) 12:25
オリコン

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