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イノベーションの担当部署を“出島”にしてはいけない!「モノづくり×イノベーション×はたらく論」対談企画第1弾――東芝 最高デジタル責任者・島田太郎氏×『リクナビNEXT』編集長・藤井 薫

2019/11/14(木) 17:01配信

リクナビNEXTジャーナル

これからの時代の組織強化に「ダイバーシティ」は欠かせない

藤井:イノベーションを生み出そうとする企業は、「個の力」をどう活かすか、そしてそれを結集する新しい「組織の在り方」を考える必要があるかと思います。例えばGEにおいては、「集合天才(Collective Genus)」という組織運営の考え方がありますね。「各専門分野の才能を集めれば、1個の天才をもしのぐ存在を作り出せる」と。
島田さんはこれまでのご経験から、「個の力」と「組織の在り方」をどう考えていらっしゃいますか。
島田:キーワードの一つは「ダイバーシティ(多様性)」であると思います。日本企業では「女性活躍推進」を主眼に語られることも多いのですが、ここで言いたいのは「異なる考え、価値観を持つ人々を受け入れる」ということです。一定の方向や目標に向け、異なる考えを持つ人たちで議論し合うことが新たな力を生み出します。皆が同じような考えを持ち、異なるものを排除しようとする組織は、これからの時代は弱体化していくでしょう。
藤井:未来が確実な社会なら、同質統制組織が機能したかもしれませんが、未来が不確実な社会では、異質共鳴組織が不可欠なのですね。
島田:私が在籍していたシーメンスの例を挙げると、10年前は30万人の従業員のうち20万人がドイツ人でしたが、今ではドイツ人は10万人にとどまっています。わずか10年の間に、それだけ多国籍化が進んでいるということです。
先が見えない時代だからこそ、多様性を持った戦略が必要であり、多様性を許容する文化であることが重要です。そうした文化を築くには、トップに立つ人間は自分の考えを押し付けてはいけないし、下にいる人も言うことを聞いているだけではいけない。
藤井:スポーツだとすれば、ベンチにいる監督が次の攻撃を指示するのではなく、フィールドにいる選手たちが自分のポジションの役割を踏まえて判断して動くということですね。
島田:知人のプロアスリートからこんな話を聞いたことがあります。日本人は、アイススケートや体操のように決められたルールに沿って得点を積み上げる競技では、練習どおりに本番で力を出せばメダルを取れる。しかし、サッカーのように多くのメンバーが瞬間瞬間で判断して動くチーム競技ではトップに届かない、と。これを製造業に置き換えれば、一定の法則に従って、前よりも高性能化・コンパクト化した製品を作ることにおいて、日本人は長けている。けれど、カオスの中でのチームプレーでは競り負ける、ということですね。
藤井:カオスに強いチーム作りの第一歩が「多様性」。ラグビーW杯で躍進した日本代表チームが「多国籍」であったのは、象徴的といえるかもしれませんね。
島田:日本は長い歴史を見れば、決してクローズな民族ではありません。遣唐使の時代より、中国から思想も文化も技術も導入し、それをベースに独自のものを築き上げてきたわけですから。再度、スイッチを切り替える時期が来ていると思います。

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最終更新:2019/11/14(木) 17:01
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