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部員13人の公立高を指導する中日OB木俣さん「研究した理論の継承ありがたい」無償で打撃伝授

11/14(木) 7:00配信

中日スポーツ

 中日の捕手やコーチとして活躍した本紙評論家の木俣達彦さん(75)が、愛知県岡崎市の県立岩津高で野球部特別コーチとして指導している。7月に就任し、週に1、2度、高校生を相手に熱血指導を続けている。

 愛知県の高校野球は、木俣さん自身の母校である中京大中京(当時中京商)をはじめ、今春のセンバツを制した東邦や昨夏の甲子園に出場した愛工大名電など私学が強い。1935年に創立した岩津の過去の戦績は、2014年春の県大会4強が最高。この時は、その年のセンバツで初出場ながらベスト4に勝ち進んだ豊川を破った。もちろん甲子園出場はない。

 専用グラウンドも、ナイター設備もない。部員は2年生が3人、1年生が10人の計13人。決して恵まれた環境ではないが、それでも木俣さんが特別コーチを引き受けたのは、山本耕一監督(41)の熱意に打たれたからだ。

 中日ドラゴンズアカデミー岡崎校の練習を見学した山本監督が、論理的な指導に感激。高校、大学(中京大)の先輩という関係もあり「十分なお礼はできませんが…」とコーチ就任をお願いすると、木俣さんは「お金なんかいらない」と無償で引き受けた。

 主に教えているのは打撃だ。高校野球に限らず日本ではダウンスイングが理想とされるが、現役時代の木俣さんはアッパースイングが代名詞。巨人のV10を阻止した74年はリーグ2位の打率3割2分2厘をマークした。今は、そのエキスの注入に全力を注いでいる。

筒香・柳田も実践 バックスピンかけるティー打撃

 特徴があるのはティー打撃だ。日本では支柱の上のカップに置いた球をたたくのが一般的だが、木俣さんは上からつるした球を打つ練習法を取り入れた。1台約9000円の機器を3台購入させ、球の中心線から約4ミリ下周辺を木製バットでたたくロングティーの練習を徹底している。

 これは、ソフトバンクの柳田やDeNAの筒香らもやっている練習だという。木俣さんは「こうすれば、バックスピンがかかって、飛距離が伸びる」と説明する。山野祥主将(2年)は「今まで教えられたことのない指導ですが、飛距離は以前より伸びた気がします」と効果を口にする。

 山本監督は「木俣さんが来られて部の雰囲気が変わった。決して怒鳴らず、選手が納得するまで、穏やかに指導されるのが素晴らしい」と絶賛する。

 木俣さんは「甲子園に行くのは大変なこと」と前置きしながら「自分が長年、研究した理論を受け継いでくれる人が、ありがたい。この年で野球に関われるのも幸せなこと」と温かい目で孫の年代の選手たちを見守っている。

 ▼木俣達彦(きまた・たつひこ)1944(昭和19)年7月7日生まれ、愛知県岡崎市出身の75歳。中京商(現中京大中京高)では62年春夏甲子園4強。中京大を1年で中退し、64年に中日入団。74年の20年ぶりのリーグ制覇に貢献し、82年限りで現役引退。実働19年の通算成績は2142試合、1876安打、打率2割7分7厘、285本塁打、872打点。引退後は中日のコーチを務めた。

最終更新:11/14(木) 7:00
中日スポーツ

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