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「一目でいいから見たい」 焼失しても首里城観光を望む観光客 ガイドがとった行動は

11/14(木) 8:01配信

沖縄タイムス

 「毎日通う職場がなくなったと同じ。バスガイド仲間と一緒に涙しました」。那覇バスのバスガイド歴45年の上江洲秀子さんは、火災当日の心境を静かに語り始めた。

 定期観光バスは、火災直後は首里城に代わる観光施設へ案内を変更していた。だが、観光客からは「一目でもいいから首里城を見たい」との声が続々と寄せられた。バスガイドらが提案し、首里城を眺めることができる龍潭通りを観光コースに残した。

 首里城火災から14日で2週間が経過する。観光バスに同乗し、ガイドや観光客の思いを聞いた。

 13日午前9時、那覇バスターミナルを出発。大道から首里向けの坂道に入ると、上江洲さんは「期待して来られたかもしれないが、首里城の今の姿を見てほしい」と申し訳なさそうに案内した。

 龍潭通りから、首里城を右側に見ることができるのはわずか1分にも満たない。道幅の狭い通りでは停車もできない。車内から首里城が見え始めると、わずかに速度が落ちた。「少しの間だけでも首里城を見せたい」という思いが運転手からも伝わってきた。

 何度も沖縄を訪れている乗客の80代男性は「公開できるエリアだけでも入れるのではないかと期待していた。ほんの一瞬だけでは」と残念がった。

 関東から初めて沖縄を訪れた60代と20代の親子は、首里城の場所を探すように窓に顔を寄せた。正殿があった場所を捉えることはできなかったが、「火災がきっかけで首里城を意識するようになった。琉球の時代から沖縄戦の悲しい記憶、今までとは違う側面を学べた」と話した。

 以前は1時間かけて巡った首里城だが、今はわずかな時間で後にする。那覇バスの山城京子係長は「守礼門や歓会門の近くまで案内したいが、ルート変更には手続きが必要で時間がかかる」ともどかしさを吐露する。定期観光バスを運行するには運輸局へ順路の申請の必要がある。来年4月の新ルートに向けて議論するといい、「乗客の気持ちに応えたい」と前を向く。

 観光客も事業者にとっても沖縄の歴史をたどる上で、首里城を「観光の要」とみる。その役割は焼失しても変わらないと実感した。(政経部・仲本大地)

最終更新:11/14(木) 8:01
沖縄タイムス

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