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《台風19号検証》茨城、浸水想定避難所2割 「どう逃がすか」再考 広域化、住民周知に課題

11/15(金) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

茨城県内の指定避難所1509カ所のうち、約2割の304カ所が浸水想定区域内にある。これらは「基本的に洪水時は使用しない」(県防災・危機管理課)が、浸水想定区域に多く人が暮らす地域では、一時的な避難所として使用している。台風19号が上陸した10月12日、多くの住民が浸水想定区域内の指定避難所にいったん逃げた後、再びバスなどで高台に避難した。再避難先の確保や住民への周知など、自治体は「どう逃がすか」の再考を迫られている。

■町外にバス輸送

利根川沿いの境町は町内の9割以上を浸水想定区域で占め、指定避難所も21カ所中20カ所と大半が浸水想定区域内にある。

2015年の関東・東北豪雨で被害に遭った経験を基に、町は住民を町外に逃がそうと、坂東総合高(坂東市)、総和工業高(古河市)と万一の際に広域避難所として使用する協定を締結。県バス協会とも輸送の協定を結ぶなど、洪水を想定した広域避難計画を練っていた。

台風19号で同町では少なくとも2194人が町外の広域避難所へ避難した。12日午後5時、町は利根川上流域での降雨情報などを基に「高齢者等避難開始」を発令。午後6時45分、一時避難所などに集まった住民らのバス輸送を開始し、施設入所の高齢者らを含め総勢約200人を13日午前6時ごろまでに運んだ。ほかにも多くの町民が自家用車などで避難した。

同町は、広域避難所までの道路の一部で渋滞が発生したり、広域避難所の受け入れ容量が満杯になって再々避難した人もいたりと課題も残ったことから、住民アンケートを今後実施して対策の強化に生かしていくことを検討している。

■段階的に高台へ

県防災・危機管理課が3月に発表した「指定避難所の立地及び生活環境等に関する調査結果」(基準日は昨年9月30日)によると、浸水想定区域内の指定避難所は38市町村に計304カ所あり、「これらは地震など洪水以外の災害時に使用することを住民に周知し、逃げ間違い発生を防止」と注意書きが記されている。

台風19号による河川氾濫で広域的な浸水被害があった水戸市も、境町と同様に高齢者など自ら遠方への避難が困難な住民に配慮し、浸水想定区域内の指定避難所を「洪水時一時避難所」として開設している。市防災危機管理課によると、今回も236人が一時避難し、その多くが市のマイクロバスや公用車などを使って段階的に高台の避難所へと再避難した。

■危険なケースも

一方、「基本的に洪水時は使用しない」との考えに沿った避難所運営をしている自治体にも課題はある。

常陸太田市では指定避難所72カ所のうち16カ所が浸水想定区域内にあり、そこは洪水想定時、原則開設しない。「再避難の際、浸水や暴風雨によりバス輸送に危険が伴ったり、バスの台数を確保できない恐れがある。再避難時に事故が起きるケースもある」(市防災対策課)との理由だ。

浸水想定区域の指定避難所を開設しなければ、住民は区域外へ避難が必要となる。市は、開設しない避難所への逃げ間違い防止や災害のタイプ別に合わせた避難所の使い分けを巡って、住民への周知徹底や早めの避難呼び掛けなどを課題に挙げる。

市の担当者は「広域避難も検討する必要があるが、河川を越えなければ避難できない住民のことも考えなければならない。緊急時には、浸水想定区域内の避難所であっても2階や3階に避難してもらうことなども今後想定しなければいけない」と話す。 (三次豪)

茨城新聞社

最終更新:11/15(金) 4:04
茨城新聞クロスアイ

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