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ベビーカーの不安、東京メトロが考えた奇策 あえて「ない」を発信 使いにくい案内板「盛り過ぎ」を反省

11/18(月) 7:00配信

withnews

子どもが生まれベビーカー生活が始まった頃、知らない駅に行くことが不安でした。大きな駅では、複数のエレベーターをうまく乗り継がないと目的のホームや出口にたどり着けないので、「迷わないか」「そのうちに子どもがぐずり出さないか」と緊張しました。そんな気持ちが届いたのか、東京メトロが今年、各駅のエレベーター情報などをまとめたサイト「ベビーメトロ」を本格稼働させました。発信するのは「エレベーターがない」という情報。いったいどういうこと?「ベビーメトロ」が生まれたきっかけから、駅の案内板が使いにくい理由について考えます。(朝日新聞記者・高重治香)

【イラスト】「それでもオトナですか?」に共感 学生視点の地下鉄マナーポスター

きっかけは妻の一言

東京メトロ社員で、いま0歳と3歳の2人を子育て中の横溝大樹さん(31)は、4年前、妊娠中の妻と一緒に地下鉄に乗ろうとした時、こんなことを言われました。

「案内がたくさんありすぎて、知りたいことがわからないよね」

妊娠の影響でにおいに敏感になっており、人の少ない列車内の「ベビーカースペース」に乗車しようとしていましたが、なかなか見つけることができませんでした。エレベーターが見つからず右往左往したこともあったといいます。妻の出産後も、そうした経験が続きました。

「駅で『いま知りたい』情報がぱっと見つかる状態ではありませんでした。そのことで身近な人がこんなに困っているなら、自分にできることはないかと考えました」

社内提案制度に応募

横溝さんは社内で新規事業の公募があったのに応じて、駅で困らないようさまざまな情報をスマホで調べられるサービスを提案しました。

提案は採用。新規事業企画担当の天野純一さん(40)、文書・株式課の坂田麻美さん(29)との3人チームでサービス開発が始まりました。
大学でデザインを学んだ経験がある天野さん。

「そもそも利用者の不安な気持ちがどこから来るのか、3人で何度も話し合い、根源的な問題を掘り下げました。答えは『段差(階段)がある』ということでした」

「段差をなくす」には物理的な工事が必要で、すぐにすべての段差をなくすことは不可能です。駅係員に頼めば「段差の上り下りの補助」をしてくれますが、ベビーカーからいったん子どもを降ろさなければいけないし、頼むことを躊躇してしまう人もいます。

そこで第3の方法として考えたのが、「段差がある」「エレベーターがない」といった情報の提供です。そうした情報をあらかじめ知っていれば、利用者が「エレベーターのない駅を避ける」「ベビーカーを抱えて階段を上ることを織り込んで、荷物を減らして出かけるなど心構えする」といった事前の対策をできるのではないか、と考えました。

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最終更新:11/18(月) 11:52
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