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首里城にスプリンクラーがなかった理由に見る文化財保護のジレンマ

11/15(金) 10:13配信

CBCテレビ

今もなお目に焼きついている。沖縄の首里城が炎上する映像である。
テレビの画面を見つめながら、10月末のまだ寒さ本番ではない夜明けに震えがきた朝。半年前には、遠く離れたフランスのパリからのニュースでノートルダム寺院が炎の中で焼け落ちる姿を見た。世界遺産を相次いで襲った災禍は、2019年の悲しい出来事として歴史に刻まれるだろう。

【動画】岐阜城や名古屋城でも緊急点検‥世界遺産の首里城や白川郷の火災を受け

スプリンクラーの義務はなかった

首里城の火災について、スプリンクラーが設置されていなかったことが指摘された。
スプリンクラーはホテルの部屋などで馴染みがある方も多いと思うが、火災発生時に自動的に反応して鎮火する機器である。初期消火にとても効果があると言われている。
「消防法」では、このスプリンクラーが建物の規模や使用用途などの条件によって、設置が義務づけられている。例えば、映画館や劇場、デパートやホテル、そして地上11階建て以上の商業施設などが対象で、法令による定期点検も必要だ。
ところが「文化財保護法」にはスプリンクラーの設置基準はない。

緊急調査結果の衝撃

2019年4月のノートルダム寺院の火災を受けて、文化庁の動きは素早かった。
6月にかけて国内の国宝や重要文化財の防火設備などについて緊急のアンケート調査を実施、8月に結果を発表した。その中のスプリンクラーについての項目には驚かされた。調査には国内の重要文化財施設の約98%にあたる4543棟から回答があったが、スプリンクラーを設置しているのは、わずか66棟だった。4543棟の内の66棟。全体の1.5%にも満たない数だった。

なぜスプリンクラーを付けないか?

文化庁の担当者は、「消防法という法律上で対象にならない文化財にはスプリンクラーが設置されていない場合が多い」と話す。なぜか?
費用も当然かかるのだが、スプリンクラーは配水管を建物内部に張り巡らすため、文化財自体を傷つけてしまうリスクがあると言う。
もうひとつの理由が機器の誤作動。万が一、火災が起きていないのにスプリンクラーが間違って作動して放水を始めたら、貴重な文化財が水によって大きな損害を受ける恐れがある。スプリンクラーは一般的に、放水は自動的に始まるが、一方で自動的に水を止めることはできない。誰かが手動で止めるまで水は撒かれ続けるのである。水損を恐れて文化財の所有者が躊躇する理由である。

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最終更新:11/15(金) 10:18
CBCテレビ

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