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とんかつはご馳走なのか? 話題の「カツレツの店 貴族と平民」で自問する

11/15(金) 7:01配信

LEON.JP

名店「もんじゃさとう」でもんじゃ界に旋風を巻き起こした佐藤幸二氏がオープンさせたのは「カツレツの店 貴族と平民」。この不思議な店名が意味することとは?

「鮨、うなぎ、ステーキはご馳走である」。これはきっと、みんなの共通認識。では「とんかつ」はどうだろう? わたしが学生だった30年前、とんかつは定食の“松”くらいの感覚だった。早稲田にはチョコレート入りの“チョコとん”が名物のとんかつ屋があったけれど、あれはたしか1000円もしなかったのでは? 実際“チョコとん”はおいしくなかったらしいし、オーダーしている人を見たこともなかったけれど、その店は学生たちにとても愛されていた。とんかつがさほど特別な料理じゃなかった時代の話。

当時も目黒の「とんき」や御徒町の「ぽん多本家」など名店は数多あったし、そんなお店は高価だったのかもしれない。でも、とんかつが劇的にご馳走化したのは、わたしの記憶では当時赤坂にあった「フリッツ」がきっかけだった。洗練された洋食で知られる「旬香亭」斎藤元志郎シェフによる揚げ物専門店だった「フリッツ」のとんかつは、母が家で長い菜箸を使ってシャアシャア揚げるそれとはひと味もふた味も違う、言うなればワインが飲みたくなるような味わいだった。

そしていま、とんかつ。選り抜いた豚肉を、中までしっとりとやわらかくロゼに仕上げるスタイルが流行している。わたしの好みはあまり生っぽくないオールドスタイルのとんかつなのだけど、それは置いておいても、とにかくとんかつはグルメ化し、ご馳走化しているように思う。たとえば某人気店のロースかつ定食は3000円超。おいしいし、キャベツはおかわりできるし、ごはんや味噌汁も吟味されているから満足度は高い。

でも、ときに、もう少し気楽なとんかつが食べたい。カジュアルな、目黒の「トラットリア ダル・ビルバンテ・ジョコンド」で出しているランチのコットレッタのような、薄くて、上にルッコラのサラダをのっけるから、始めはカリっとしていた衣も次第にビショつくような、そんなのもいい。そうか、とんかつと言うからグルメっぽいけど、もしかして私が食べたいのはコットレッタ的な、つまり「カツレツ」なのかも!?

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最終更新:11/15(金) 7:01
LEON.JP

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