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クルマのフィギュアスケート! D1最終戦は勝たずにチャンピオン決定!

11/16(土) 15:00配信

アスキー

「モータースポーツのフィギュアスケート」とも呼ばれるドリフト競技の最高峰「D1グランプリ」シリーズの最終戦をレポート! 衝撃の結末で王座が決定した!
 「モータースポーツのフィギュアスケート」とも呼ばれるドリフト競技の最高峰「D1グランプリ」シリーズの最終戦が大分県・オートポリスで行なわれ、単走はGRスープラを駆る斎藤選手が優勝、追走は今年から参戦した中村選手がうれしい初優勝。シリーズチャンピオンは昨年のチャンピオンである横井選手が2連覇を達成しました。波乱が波乱をよんだD1グランプリ最終戦をリポートします。
 

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 マシンのレギュレーションが変更されたことにより、例年より遅い6月に開幕した今年のD1グランプリシリーズ。注目マシンはチャンピオン経験者である斎藤選手、川畑選手が乗る2台のGRスープラでした。ですが注目を集めたものの、熟成不足から来る戦闘力不足などにより、ここまで目立った結果は出せておらず、現在のD1GPシリーズの厳しさを感じさせます。
 
 シーズンは、初戦と2戦の筑波は、昨年のシリーズチャンピオンであるD-MAXの横井選手が連勝。圧倒的な強さで今シーズンも席巻するのでは? と思われたのですが、続く3戦と4戦の十勝サーキットはRE雨宮の松井選手が連勝。さらに5戦と6戦はTeam ORANGEに所属し、D1最年少選手の小橋選手が連勝するものの、横井選手がノーポイントという展開。チャンピオンシップ争いが失速した横井選手に対して、松井選手が7ポイント差にまで追い上げた状態で最終戦を迎えました。
 
「チャンピオン候補上位2名が予選落ち」の異常事態発生
 D1グランプリは、走りの美しさや正確さを競う「単走」と、単走上位16名がどれだけ相手に近づけたかを競うトーナメント対戦「追走」の2種目で争われます。2日にはそのうちの単走が行なわれました。
 
 まずは追走トーナメントに進出しなければならない横井選手と松井選手。ですが両名ともプレッシャーからか、普段の走りができず、まさかの予選落ちという展開。一気にチャンピオンシップ争いが混沌とした状況に陥ります。この展開に誰もがざわつき、注目は自力優勝の可能性があるシリーズポイント3位の小橋選手と4位の藤野選手に集まります。藤野選手は6番手、小橋選手は13番手でトーナメント進出をはたします。
 
 そんな波乱の単走で光る走りを魅せたのが、斎藤選手とGRスープラ。2本目にメインストレートで時速「194.79km/h」を出すと、そこから急角度なドリフトを魅せて101.1点と、参加選手中唯一の満点越え。今シーズンの苦しみを一気に吹き飛ばす快走に、場内からは割れんばかりの歓声と拍手が沸き上がりました。普段はポーカーフェイスの斎藤選手も笑顔で「気持ちよかった!」とコメント。今までの不調から抜けだしたようです。
 
 2番手は地元九州出身で、今年はR35のエンジンを搭載したS15シルビアでスポット参戦するベテランの植尾選手、3番手にプリムス・バラクーダ顔のロケットバニー・ボスワイドボディーキットを装着したS14シルビアを駆る日比野選手が入りました。
 
戦わずにチャンピオン獲得!
 翌日に行なわれた追走トーナメントは、やや肌寒い曇り空の中で開催されました。小橋選手と藤野選手の走りをただただ見つめる以外に、何もできない横井選手。小橋選手がベスト4、藤野選手が決勝まで進んだ段階で、横井選手のシリーズチャンピオンはなくなります。
 
 小橋選手のベスト16対戦相手は、今年D1デビューでヴァリノタイヤ勢のエース・中村選手。過去全戦全勝している相手です。しかし、小橋選手はミスをしてまさかの敗退。これに横井選手は「中村よくやった」と大喜びです。
 
 いっぽうの藤野選手は、ベスト16戦を難なくクリアしベスト8戦へ。対戦相手はベテランで小橋選手のチームメイト末永選手。追走1本目は両者コースアウトでほぼイーブン。注目の2本目、先行する藤野選手に対して末永選手が詰め寄って末永選手の勝利。この瞬間、横井選手のシリーズチャンピオンが決定しました。
 
 勝たずにチャンピオンというのは、D1の歴史の中でもそうないのではないでしょうか。「神は僕を選んだ」と冗談を言う横井選手ですが、内心はかなりヒヤヒヤだったようで「正直99.9パーセント、チャンピオンが取れないと思った」そうです。
 
 決勝戦は中村選手と末永選手の対戦。中村選手は勝てば自身はもちろん、ヴァリノタイヤ勢としても初勝利。末永選手も約6年ぶりの勝利になります。ここで中村選手が見事な走りを魅せて勝利。勝ち名乗りを受けた中村選手は雄たけびを上げて喜びを爆発。そして表彰式ではファンと関係者の前で「色々な人に恩返ししたくて……ありがとうございます。長かったですけれど……ヴァリノタイヤが優勝できてよかったです。ホンマにダメな自分だったんですけれど……ありがとうございます」と涙ながらに語るや、場内は暖かい拍手に包まれました。
 
 2019年シリーズチャンピオンとなった横井選手は「本当に尻下がりなシーズンだったんですけど、前半でしっかりポイントが取れてよかったと思います。また2連覇は難しいことなのでうれしく思います。来年はニューマシンを投入し、スリータイムズチャンピオンを目指します」と力強く宣言。
 
 さらに「去年2連覇して世界も取ると言ってFIAに挑んだものの、上手く走れなかったので、もう一度チャンスを得たと思って頑張りたいと思います」と12月に筑波サーキットで行われるドリフト世界一決定戦「FIAインターコンチネンタル・ドリフティングカップ」に向けての意気込みを語りました。
 
 来年20周年を迎えるD1グランプリ。開幕戦は4月25~26日の2日間、聖地である福島県・エビスサーキットで開催されます。今シーズンのように横井選手が開幕ダッシュを決めるのか、それともチームの地元であり、エビス3勝をしているエビス・マイスターの小橋選手をはじめ、ライバルが阻止するか。注目です!
 
12月1日、筑波でドリフト世界統一王者が決まる!
 11月30日~12月1日の2日間、茨城県・筑波サーキットで「FIAインターコンチネンタル・ドリフティングカップ」が開催されます。今年で3回目となる世界自動車連盟公認のドリフト世界一決定戦。初年度は川畑選手が優勝、昨年はロシアンドリフトシリーズチャンピオンのゲオルギィ・チフチャン(通称:ゴーチャ)選手が王者を戴冠しました。
 
 注目は昨年ワンツー・フィニッシュを決めたロシア勢はもちろんのこと、ニュージーランドのドリフトマスター、マイケル・ウィデット(通称:マッド・マイク)選手。4ローター・ツインターボエンジンを搭載したRX-7(FD3S)が、迫力のサウンドで筑波を揺るがすこと間違いありません!
 
 迎え撃つは、初代王者の川畑選手、D1GP2連覇の横井選手のほか、FDマイスターの松井選手、シリーズ3位の藤野選手、そして若手の小橋選手の5名。川畑選手は王座奪還に向けて、マシンをリニューアル。タイヤのグリップレベルが上がった現在、1000馬力がなければ追走で勝てないとの決断から、ドリフト競技ではポピュラーな2JZ(800馬力)から、SC430などに搭載されていたV8の3UZ-FEにチェンジ! しかもボーリング加工などにより4.4リッター化した上にターボを搭載した結果、1000馬力という大台に到達する予定。
 
 松井選手も「自分の手で日の丸を一番高いところに掲げ、国歌を流す」という不退転の決意。藤野選手も「今年出られるかわからない状況だった。いただいたチャンス、出るからには勝ちに行く」と、静かに闘志を燃やしていました。D1GPシリーズに参戦するタイのDaychapon Toyingcharoen選手(通称:ポンちゃん)も、日本のD1選手を知っているだけに要注目です。
 
 世界を迎え撃つ日の丸滑走隊。その戦いぶりを筑波で応援してはいかがでしょう。
 
文● 栗原祥光 撮影●栗原祥光

最終更新:11/16(土) 15:00
アスキー

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