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乳がん早期発見へ「検診」と「教育」を 美智子さま治療、静岡がんセンター医師強調「異変、放置しないで」

11/16(土) 14:00配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 日本人女性の11人に1人が罹患(りかん)するという乳がん。国立がん研究センターが10月に公表した若年世代のがんに関する報告では、20~39歳の患者の約8割は女性で、乳がんなどの女性がん増加が要因とされた。早期発見の重要性が指摘される中、上皇后美智子さまの乳がん治療に携わった県立静岡がんセンターの医師2人がこのほど、静岡新聞社の取材に応じ、検診受診とがん教育を通じた健康意識の向上を改めて訴えた。

 美智子さまは7月、定期検診で受けた乳腺超音波検査で左胸に病変が見つかった。ステージ1の乳がんと診断され、9月に乳房温存術での手術を行った。

 静岡県の検診受診率は2016年で45・4%と低調。同センター乳腺画像診断科部長の植松孝悦医師は「毎年検診を欠かさなかったことが重症化を防いだポイント」と強調する。

 乳がん検診は、自治体などが40歳以上を対象に2年に1回、マンモグラフィー検査を行う「対策型」と、自己負担で超音波検査などを受ける「任意型」がある。植松医師によると、日本人女性は乳腺濃度が高い人が多く、マンモグラフィーの画像では白く写る。病変も同じように白く写るため、乳腺に隠れ、マンモグラフィーだけでは発見できないがんもあるという。植松医師は「検診結果を100%だと思わず、異変を感じたら病院に来ること。対策と任意を併用すれば発見率は上がるが、良性だった腫瘍に過剰な検査をしてしまい、体に負担がかかる場合もある。健康に対する価値観をよく考えた上で選択して」と助言した。

 乳がんは他の臓器のがんと比べ、セルフチェックで発見しやすい。しかし、美智子さまの診療方針を検討したキャンサーボードに参加した乳腺外科部長西村誠一郎医師は「しこりを感じても病院に来ない人がいまだに多い」と苦言を呈する。

 乳がんは30代から患者数が増え、40代後半から50代前半でピークを迎えるが、子育てや介護の忙しさを理由に検診や治療を受けない女性が多いという。欧米では教育の一環で、乳房の健康に関心を持つ「ブレスト・アウェアネス」という概念などを学生のころから学ぶ。西村医師は「がん教育を通じて健康に対する意識付けを図ることが大事。医療者と患者、教育現場が一体となり、病気に関する正しい知識や生々しい現実を伝えることが必要」と述べた。



 <メモ>静岡がんセンターは宮内庁から依頼を受け、乳腺センター長の高橋かおる医師を美智子さまの乳がん検診に毎年派遣していた。今年7月の検査で病変が見つかったため、植松医師が細胞や組織を採取する「針生検」を実施。病理診断科部長の杉野隆医師らの病理検査で乳がんと診断した。その後、西村医師らが参加してキャンサーボードを開催。9月、同センターと東大病院の合同チームが手術を実施した。植松医師のように、乳腺画像診断と針生検の両方を専門に行う医師は国内でも珍しく、精度の高い診断につなげた。

静岡新聞社

最終更新:11/16(土) 14:00
@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

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