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大人にこそ刺さる、映画『すみっコぐらし』の切ない魅力と優しい世界観

11/16(土) 8:20配信

マグミクス

こんなに切なくていいの? 大人だからわかる「すみっコ」の悲哀

 2019年11月8日(金)に公開された映画『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は、リラックマで有名なサンエックスの人気キャラクター「すみっコぐらし」を映画化した可愛らしい作品ですが、Twitterでは「大人こそ見るべき」「感動した、泣いた」の声が続出し、11月9日(土)~10日(日)の国内映画ランキングでは邦画第1位に。ここまで大人に人気がある理由は、一体何なのでしょうか。

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 映画はすみっコたちの紹介から始まりますが、ここで驚きの設定が明かされます。彼らは基本的に「のこりもの」。なかなかに悲しい夢を持っているすみっコもいました。例えば、とんかつは、端っこの部分であるため体の99%が脂肪です。食べてもらえなかった「のこりもの」なので、将来の夢は「食べてもらうこと」。子ども向けのキャラクターで、こんなに切ない設定があるでしょうか。

 ほかにも雑草の夢が「ブーケになること」だったり、しろくまがすみっコになった理由が「さむがりで北から逃げてきた」だったりと、ほんのりと切なさを感じる設定です。そして、その設定が映画の随所で活かされています。

 前半はすみっコたちが絵本の世界に迷い込み、『マッチ売りの少女』『人魚姫』など童話の世界を旅します。絵本の中に出会った迷子のひよこに、自分探し中のペンギンが自分を重ねて一緒に家を探すのですが、この2人の絆がその後の展開に深く関わることに。ほのぼの進むかと思われた物語も後半に急展開を迎え、本作品の核をなす「切なさ」があふれだします。

 設定や展開の切なさはありつつも、すみっコたちの可愛らしさや童話のなつかしさで絶妙なバランスが取られています。井ノ原快彦と本上まなみのナレーションも、耳に柔らかくて安心。悪口やマウンティング、裏切りなどが存在しない優しい世界観に、心癒される大人も多いのではないでしょうか。

 映画館では、観客の子どもたちの反応も良く、最後列で立ち上がって観ていたり、随所で笑い声やすすり泣く声が聞こえました。65分と短い作品ですが、「子供向け映画にこういう終わり方ってあるんだ……」という意外な結末を迎え、大人も子どももがっちりと心をつかまれるでしょう。

 特に大人は、「切ない」の感情の種類をたくさん知っているからこそ、「すみっコ」の挙動に目が離せなくなるのではないでしょうか。最後のスタッフロールまで、しっかりと見ていただきたい作品です。


※映画『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』は、2019年11月8日(金)より全国の映画館で公開中です。

新美友那

最終更新:11/16(土) 10:38
マグミクス

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