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「ネットでバズって書籍化」したライターが、いまいち未来を楽観視できない理由

2019/11/16(土) 12:07配信

BuzzFeed Japan

インターネットへの感謝、紙媒体の行く末

――高橋さんご自身のバックグラウンドについても聞かせてください。もともとブログで裁判傍聴の記録を書いていらっしゃったんですよね。

そうです。2005年から刑事裁判の傍聴をはじめ、記録をブログにつづっていたんです。そのブログが『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)として書籍化したことが、フリーライターになったきっかけでした。

――私も大学生の頃にブログを書いていたことが、記者の仕事につながったタイプなので高橋さんと少し似ているがします。お金をもらわずに趣味としてブログで書いていた時と、原稿料をいただいて商業媒体向けに書く時では、文章への向き合い方は変わったでしょうか。

逆に、そのあたりの意識って、山崎さんはどうですか? 私はテレホーダイ全盛期にパソコンを使い始めているので、ブログはあくまでその情報を知りたい人向けに書くという気持ちが強く、今のようにフォロワーを得るとか、一種の“仕事”としての発信を意識していたわけではなかったです。

デジタルネイティブ世代に近い山崎さんは、パソコンに使い始めた頃から、まったくの他者に読まれるつもりで書いていたのでしょうか。Webでの発信に一種の“ビジネス”の匂いがあることを、子供の頃から自覚していた?

――ブログを書き始めた頃にはすでにSNSもあったので、そこと比べて自分の予想を超えるところまで届いて面白い、という感覚はあった気がします。でも「じゃあそれを仕事にしよう」「そのために名前を売ろう」という意識はなかったですね……。「もしかして、この延長線に仕事の選択肢もある?」と思い至ったのは就活する時になってからでした。

そうなんですね。私の場合は、傍聴ブログが書籍化されることになったあたりから、意識し始めた感じです。

もともとブログ出身であることや、プログラマー時代に、技術的な情報をインターネットからも得ていたことから、個人的にはインターネットに感謝しているというか……そんな気持ちがずっとあります。

――書き手として育ててくれた場所、という意味合いでしょうか?

というより、自分もさまざまなホームページやブログから、いろいろな情報を無料で得てきたので、自分の発信する情報が誰かの役に立つのであれば、という気持ちです。

なので、いま自分は主に〈時間と経費のかかる取材〉は紙媒体、〈交通費以外には、それほど経費のかからない取材〉をWeb媒体に書いて原稿料を得ていますが、SNSやnoteではたまに無料で情報を発信しています。今のインターネットは殺伐とした雰囲気も多いですが……。

あと、私は紙媒体の編集さんから「ブログっぽい」と言われることがすごく多かったんです。要するに〈軽い〉という意味だと解釈してますが、今回の『つけびの村』ではその軽さも読みやすさに繋がったのではないかとも考えています。

――ネット育ちの高橋さんですが、いま取材活動を続けていく中心にあるのは、紙媒体という意識なんですね。

書き手の立場からいえば、多くの取材者を支えているのは明らかに週刊誌、月刊誌をはじめとした紙媒体ですね。

正直なところ、紙媒体が滅んでしまったら、Web媒体の編集さんたちはどうやって現場取材の情報を入手するんだろうか……と、その点は本当に心配になります。

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最終更新:2019/11/16(土) 12:12
BuzzFeed Japan

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