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「ネットでバズって書籍化」したライターが、いまいち未来を楽観視できない理由

2019/11/16(土) 12:07配信

BuzzFeed Japan

「編集者」の存在意義

――『つけびの村』を読んでいて印象的だったのが、執筆初期から週刊誌の編集者さんに積極的にアドバイスを求めていたことでした。noteやSNSを使えば一人でも発信できるいま、で、編集者という存在をどう捉えていますか?

「全体を見渡して、構成のアドバイスやディテールの細かさを提案してもらう」という意味で、よい文章を作っていくために不可欠な存在だと思っています。取材者はどうしても、個々の事象に集中して視野が狭くなりがちなので。

――普通はその役割を出版社の編集者の方、『つけびの村』でいえば、晶文社の江坂祐輔さんが担当すると思うのですが、今回は藤野眞功さんというフリーランスの編集者も加わっていますよね。

藤野さんは、ちょっと変な人なんですよ(笑)。気が向いたときに編集も受けているみたいですけど、基本的には私と同じ書き手側の人です。

だから、事件を取材するプロセスは把握していますし、その取材成果をどうやって原稿に反映させるかというニュアンスを、細かく説明する必要なしに理解してくれます。

――そういった事件取材のニュアンスを理解するのは、出版社でずっと編集だけをやっている人には難しいということですか。

うーん、そういうことでもないというか……週刊誌では、版元の編集者の方も取材現場に出たり、そもそも記事を書くので、書き手と同じように、事件取材のニュアンスを理解している編集さんもいらっしゃいます。

週刊誌や月刊誌を経て、書籍の部署に移る方も少なくありません。ただ今回の場合は、藤野さんは友人でもあるので、そもそも取材当時から相談に乗ってもらっていました。

加えて、本にも書きましたが、noteにアップした原稿は、別の版元の編集さんに協力してもらって書いたものでした。ざっくり言うと、半分の原稿が存在する状態で、江坂さんに声をかけてもらったんです。

江坂さんは編集者として、かなり多様な経験を積んできた方ですが、単行本編集者なので、事件取材を担当したことはなかったんです。

――となると、今回の書籍については「編集自体は藤野さんに外注」というイメージいなるんでしょうか?

分かりにくい説明になってしまうのですが、外注ではないです。原稿はつねに3人で共有していました。私が書き、藤野さんが赤字を入れ、その赤字が入った原稿に江坂さんが青字を入れて、私に戻すというルーティンですね。

イメージとしては、藤野さんが〈現場取材者としての指標〉を設定してくれて、江坂さんが〈一般読者としての指標〉を設定してくれた感じです。

たとえば、カバーデザインは、寄藤文平さんと鈴木千佳子さんがつくってくれたのですが、良い意味でノンフィクションらしからぬ装丁と褒めていただくことが多いです。この方向づけをしてくれたのは江坂さんで、私と藤野さんだけでは出てこなかったと思います。

――なるほど。「編集」のプロセス自体を複数の視点で見ているんですね。一人でもできてしまう時代に、あえてチーム制で作り上げていくやり方は逆に新鮮にも感じました。

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最終更新:2019/11/16(土) 12:12
BuzzFeed Japan

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