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悲しみも希望も後世に 釜石の震災語り部、甚句に乗せ【岩手】

11/16(土) 10:02配信

岩手日日新聞社

 北上市の立花地区交流センターが主催する講演会が15日、同センターで開かれた。東日本大震災の被災体験を相撲甚句の節に乗せて伝承する活動を続ける語り部「釜石あの日あの時甚句つたえ隊」が震災の深い悲しみや未来への希望などを朗々と歌い上げ、「失われた大切なもの」を伝える活動で、参加者に災害への教訓も印象付けた。

 震災の記憶を風化させず、災害への備えを再確認してもらおうと企画した。

 つたえ隊は、釜石市の北村弘子さん(67)と藤原マチ子さん(67)の2人。詞は共作で、相撲一家で育った藤原さんが甚句を歌い、北村さんが合いの手を入れ情景描写をしながら舞うスタイル。同市の旅館・宝来館のおかみの声掛けで2013年1月に結成し、依頼に応じて活動を続け間もなく7年になる。

 講演会には市内から約70人が参加。9編作ったうち、同日は釜石以外では初披露の多くの住民が犠牲になった「鵜住居地区防災センター編」、震災で亡くした兄を藤原さんが悼む「兄貴編」、「釜石の奇跡」と呼ばれる釜石東中学校と鵜住居小学校の児童生徒の避難を取り上げた「東中 鵜住居小編」、災害支援に感謝の気持ちを表す「感謝編」の4編を心を込めて歌った。

 藤原さんは「あの日から約3170日たったが、兄のことは一日も忘れることがなかった。あの世で暮らす兄をいつもそばに感じている。生きていた証しとして兄を知ってほしい」と歌をささげた。

 歌の合間に北村さんが歌にまつわる出来事を紹介。中でも釜石の奇跡とたたえられた当時の生徒が、訓練や日ごろの避難行動と同様に行動したことを「奇跡ではなく実績だ」と話したエピソードを披露。北村さんは「実績を積み重ねて初めて奇跡が起こるのだと子供から教えられた」と話した。

 震災を経験した子供たちの中には、人を助ける側に回りたいとの思いで警察や消防などの職業を選ぶ人がいることも語った。

最終更新:11/16(土) 10:02
岩手日日新聞社

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