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W杯後のラグビー界の課題(11月17日)

11/17(日) 8:50配信

福島民報

 十日行われたラグビーの関東大学対抗戦。優勝が絡んだ明治対慶応、帝京対早稲田と有力校が対戦する組み合わせに、秩父宮ラグビー場はほぼ満員の観衆で埋め尽くされた。

 隣の席は若い女性の二人組。ワールドカップ(W杯)をテレビで見て、実際の試合を味わいたくて来たという。ルールも詳しくは知らないようだったが、女性を挟んでわたしの反対側の席のオジサンが親切に説明役を努めていた。

 楕円[だえん]球を持ってトライ目指して駆ける選手、タックルで止めに入る選手、スピードあふれる攻防は肉弾戦そのもの。折り重なってのボール争奪。にわか女性ファンも十分魅了されていたようだった。

 わたしがラグビーの面白さを知ったのは、駆け出し記者として福岡にいたとき。上司に早稲田大学ラグビー部で主将、後に監督を務めたデスクがいた。試合を見に連れていってもらい、ルールを場面ごとに教えくれた。

 東京に来てのある日、明治大学ラグビー部の名物監督・北島忠治氏の講演があるから行きませんか、と誘われた。東京・表参道の新潟県のアンテナショップで開かれた。新潟は北島氏の郷里である。

 六十年以上も監督を続け、「重戦車」と呼ばれたフォワード(FW)を構築。「前へ」は今でも明治ラグビーに受け継がれている理念である。講演では、その神髄をときには人生と絡めてとつとつと話していた記憶がある。それ以来、例年九月から始まるシーズンには、暇があるとラグビー場に足を運んできた。

 「ジャパン」が大活躍したW杯は全試合テレビで見た。競技場は広すぎて細かいプレーが見えにくい。選手同士がぶつかるときの、ドスンというような音は届かない。アップで映し音声も入るテレビの方が、より臨場感があると思ったからだった。

 「ジャパン」が予想をはるかに超え初の決勝トーナメントに進出して、国民の関心がかつてない盛り上がりをみせた。ラグビーは野球やサッカーに比べると、まだマイナーである。

 全国高校ラグビー大会で花園行きをかけた福島県大会は郡山北工業高校が優勝した。しかし、県大会に出た高校は十一校にとどまった。それ以外の高校にはラグビー部はない。

 ラグビーが盛んな都道府県を除けば、他県も似たような状況にある。背景には指導者がいないという点にあるのではないか。ときには負傷したりするスポーツだから、基本をきっちり教え、選手を鍛える熱心な指導者が必須だ。

 四年前のW杯でジャパンが強豪南アフリカを下す「奇跡」を起こし、ラグビー人気が高まるかに思えた。だが、元に戻ってしまった。今大会の成果を日本ラグビー界全体の飛躍にどうつなげていくのか。プロリーグの結成も検討され始めているという。実現に向け熱いうちの結論を期待したい。

 (国分俊英 元共同通信社編集局長、本宮市出身)

最終更新:11/17(日) 8:50
福島民報

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