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「事実」は「論理」でなく人間の研究で示されることが必須

11/17(日) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【医療情報の正しい読み方】#3

「論理」でなく、「事実」として示された情報を選ぼうということですが、この区別もなかなか難しい面があります。例えば「抗酸化物質であるβカロテンにがんの予防効果あり」という見出しを見ただけでは、論理なのか、事実なのかの判断は困難です。多くの人は見出しだけを見て事実だと思い込んでしまうかもしれません。

 論理か、事実かの区別をするためには、その根拠となっている研究がどういうものであるかをチェックする必要があります。「抗酸化物質βカロテンががん化を予防する」という論理が、事実としてどう示されているのか、というわけです。

 その研究が、試験管内で培養された細胞のがん化をβカロテンが予防したという実験は事実でしょうか。これは試験管内での事実かもしれませんが、人間にとっては単にβカロテンががん化を予防するかもしれないという仮説を生み出しただけです。

 それでは、これがマウスのがんを予防したとなるとどうでしょうか。これはかなり事実に近づいているとは言えますが、あくまでマウスに関しての事実にすぎず、人間に対してはここでも仮説にすぎません。

 論理から事実に向かって、「試験管内の実験による研究」「マウスなど動物実験による研究」を経て、最終的には「人間を対象にした研究」でβカロテンががんを予防するということが示されなければいけません。「抗酸化物質であるβカロテンにがんの予防効果あり」という事実は、試験管でもなく、動物でもなく、人間の研究で示されることが必須なのです。

(名郷直樹/「武蔵国分寺公園クリニック」院長)

最終更新:11/18(月) 17:29
日刊ゲンダイDIGITAL

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