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繊細な技を散りばめた料理のようなドラマ『グランメゾン東京』 背景に塚本あゆ子氏の映像演出

11/17(日) 9:10配信

オリコン

 今期の連続ドラマのなかでも、木村拓哉主演の『グランメゾン東京』(TBS系)がやはり強い。視聴率は安定の二桁を維持。コンフィデンス誌のドラマ満足度調査「ドラマバリュー」でも、初回から第4話まで90ポイント台と高い数字を獲得し続けている。その最大の魅力は、脚本・キャスト・演出など、ドラマを構成する各要素のバランスの良さだろう。オーソドックスな手法をきっちりおさえつつも、丁寧で繊細な技を散りばめた同作は、さながら一皿の調和のとれた料理のようでもある。

【第5話 写真】CMでもおなじみの吉谷彩子、好演で爪あとを残しはじめている

■ドラマが元気だった時代の“昭和臭さ”も漂う

 物語は、木村演じる天才シェフ・尾花夏樹が、日仏首脳会談の食事会でアレルギー物質を混入させた事故をきっかけに落ちぶれ、鈴木京香演じるシェフ・早見倫子と出会ったことからともに世界最高の三つ星レストランを目指すというもの。

 脚本を手がけるのは黒岩勉氏で、1話で1人ずつかつての仲間が集結していく展開は王道で、ワクワク感がある。また、メインの2人に加え、沢村一樹や及川光博、さらに玉森裕太や寛一郎、吉谷彩子などの若手に至るまで、1人ひとりを主役のように均等に丁寧に描いているのも魅力だ。とはいえ、ストーリー自体はかなりベタだし、冒頭での海外ロケや豪華なセット、山下達郎の主題歌をはじめとした音楽の入れ方などには、ドラマが元気だった時代の“昭和臭さ”が漂う。

 また、玉森裕太をめぐる女性2人の描き方は、昭和の少女漫画的。(玉森の)職場の後輩女性(吉谷)に嫉妬し、陰からじっとりと見つめたり、後輩女性職場のロッカーの取手に画鋲が仕掛けられたりするくだりは、あまりに古典的。加えて、尾花の「宿敵」であるライバル店のシェフ(尾上菊之助)と、インチキ関西弁のコテコテ悪代官的なオーナー(手塚とおる)などの配置は、「ザ・日曜劇場」でもある。

 というのも、同作を手がけるプロデューサーは『半沢直樹』『下町ロケット』『陸王』『ノーサイド・ゲーム』などの伊與田英徳氏だ。一連の池井戸潤作品などは、普段ドラマをあまり観ない中年男性などの層を取り込み、安定感抜群。その一方で、『半沢直樹』が突き抜けてエンタメ性が高かったために、以降の作品は人情モノの色が濃くなり、正直「ちょっとしょっぱい」印象を持ち、あまり食指が動かなかった女性もいたことだろう。

 ともすれば、『グランメゾン東京』も、ベタで安定感抜群の昭和感漂うドラマになる可能性はあった。しかし、その味わいを大きく変えているのが、塚本あゆ子氏の繊細な映像演出だろう。

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最終更新:11/19(火) 7:25
オリコン

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