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もう一度アスファルトへ 1935年製ブガッティ・タイプ59を再生 後編

11/17(日) 16:50配信

AUTOCAR JAPAN

2015年に一度復活を果たしたタイプ59

text:Mick Walsh(ミック・ウォルシュ)
photo:Tony Baker(トニー・ベイカー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
 
専門家のジェフ・スクウィレルの協力のもと、ブガッティ・タイプ59は再度のレース参戦に向けてリビルトされた。エンジンやホイール、ボディ、トランスミッションなど多くのコンポーネントを新調。濃紺に塗装され、2012年のレトロモービルでのブガッティ・ブースで再デビューを果たした。

【写真】ブガッティ・タイプ59(1935年) (22枚)

フェンダーや灯火類など、公道走行用の部品も取り付けられていたが、極めて仕上りは上質で、真新しく輝いていた。オーナーのトーマス・ブシャーはタイプ59でレースに出場はしなかったが、2015年のグッドウッド・フェスティバルには参加。筆者は幸運にも助手席に座らせてもらった。

点火タイミングの調整も完璧なエンジンは、極めてスムーズ。59121はとても速く走った。その頃、ヴェイロンを生み出すも、フォルクスワーゲンとの関係に納得していなかったブシャーは、ブガッティを辞任していた。

2016年に、タイプ59はニューヨークのエンスージァストへと売却。彼はチャーリー・マーティンが所有していた頃の、オリジナルの状態に近づけたいと考えた。そこで実現に向けて声がかかったのが、ブガッティのレストアを専門とする第一人者、ダットンだった。

このクルマは過去の激しいクラッシュを受けたこともあり、「ハンプティ・ダンプティ(とても危ないやつ)」というあだ名を受けていた。ダットンは別のタイプ59スポーツのレストアも担当しており、時間をワープしたかのような、当時の姿を復元する技術に長けている。

公道も走れるように信頼性を向上

「ジェフは59121をレースに復帰させたいと当初話していました。しかし彼は、すべてのオリジナルパーツを保存するという、先見的な考えも持っていました」 とダットンは話す。

最初の課題は、ファクトリーエンジンを救い出すこと。クルマ購入する際の条件だったという。エンジンは現役時代に何度かブローしている。初めは1935年にコンロッドがブロックを破っている。1947年にはシリンダーヘッドに大きな亀裂が入った。当時のドライバー、アベカシスは鉄板でとりあえず直し、レースに参加したらしい。

「エンジンの救済方法は1カ月ほど掛けて考えました。大規模な修復作業を行いつつ、置き換える部分の検討を重ねました」 と作業を振り返るダットン。

「溶接部分の歪みが悩みどころでした。作業が必要な部分はエンジンの前面部分に集中していました。カムギアなどがエンジン後方だった場合、もっと多くの問題を抱えていたでしょうね」

新しいクランクとカムシャフトが用意されたが、後輪への駆動コンポーネントはオリジナルのものを生かした。「工場からの出荷状態に可能な限り近づけてあります。それがゴールでしたから。しかし、新しいプラグやデスビを用いて信頼性は向上させてあります」

「オーナーは一般道を走りたいと話していて、修理でアメリカへ毎回渡るのも大変ですからね。1935年当時にマーティンが抱えていたトラブルはもう起きないでしょう。当時のエンジンはオイルがピストンを浸透して、プラグを湿らせていたようです」

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最終更新:11/17(日) 16:50
AUTOCAR JAPAN

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