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思いやり予算 特別協定 1978年に検討 外務省が文書開示

11/18(月) 6:04配信

琉球新報

 【東京】在日米軍駐留経費を巡って米側からの負担要求が強まっていた1978年5月、外務省幹部が日米地位協定改定による対応は困難だとして、別に特別取り決めを結び、日本側が支払いに応じるよう提起した文書の存在が明らかになった。地位協定改定の必要性に言及するも「政治的に不可能」と退けている。78年から始まった、いわゆる「思いやり予算」は、87年度から特別協定に基づき日本側が負担しており、文書はその検討を約10年前から進めていたことを示している。


 文書は外務省が民間の研究団体「軍事問題研究会」(東京)の請求に対し開示した。「在日米軍経費問題の抜本的解決(特別取極)について(試論)」(78年5月10日付)と題し、アメリカ局安全保障課長名で作成され「極秘」扱いとされた。当時の課長は丹波実氏。

 日米地位協定24条は日本側が基地提供に要する軍用地代などの経費を支払い、それ以外の維持経費を米側が負担すると規定する。文書でも労務費や光熱費など「恒常的経費」は米側が支払うべきとするが、当時既に日本側は地位協定に根拠のない労務費の一部負担を決めており、さらに米側から強まる負担要求への対応を迫られていた。

 文書では地位協定による対応の限界を踏まえ、日本政府が「言わば綱渡り的な地位協定の解釈を行ってきた」と指摘し、解決策として「理論的には地位協定第24条を正面から修正する」ことを掲げる。だが条文改正は国会情勢などを理由に「政治的に不可能」と退けられた。仮に24条を改正すれば、他の条項修正を求める国民世論が高まり、反発が日米安保条約そのものに波及することへの懸念も示している。

 その上で、問題解決を図り経費負担に応じるために地位協定とは別に「特別取極」を日米で締結することを提言し、「検討を開始すべき」と記している。

 この文書の翌月の78年6月、金丸信防衛庁長官は経費負担について「思いやりというものがあってしかるべきだ」と発言し、地位協定に根拠のない日本側の肩代わり分が「思いやり予算」と呼ばれるようになった。87年度からは特別協定に基づき、日本側が労務費などを負担している。

 文書を開示請求した「軍事問題研究会」の桜井宏之代表は「『試論』とはいえ、今日に至る特別協定のたたき台になったことは間違いない。条文改正でなく特別協定によって、米側に有利な内容で地位協定24条の実質的改定に外務省が成功したということに気付かされた」と話した。(當山幸都、明真南斗)

琉球新報社

最終更新:11/18(月) 10:20
琉球新報

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