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その時が来たと手術を決断…島津悦子さん語る変形性股関節症

11/18(月) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

独白【愉快な“病人”たち】

 島津悦子さん(歌手・57歳)=変形性股関節症

 ◇  ◇  ◇

 28歳ごろから痛みだし、当時の診察医から「今のうちに手術した方がいい。いつかは、歩けなくなるほどの痛みが出て、結局、手術しなくてはならなくなる」と言われました。

 今年に入って痛みが持続するようになり、「ついにその時が来たな」と思い「人工股関節置換手術」を決断し、8月に手術を受けました。

 病気は乳児期の股関節脱臼の後遺症で、年齢とともに股関節の軟骨がすり減ってしまう「変形性股関節症」です。医師の話では、乳児期の股関節脱臼は昔のオムツ事情や抱き方が要因らしく、この年代には多いとのこと。私は1歳半から3歳くらいまでギプスをして過ごしていました。両親の献身的なケアのおかげもあり、学生時代はもちろん、立ち仕事だった観光バスガイド時代も含めて痛みとは無縁でした。

「あれ? 痛いな」と思い始めたのは、歌手デビューして2年目ぐらいです。疲れると左脚が痛くなり、それ以来、痛かったり痛くなかったりを30年近く繰り返して、いよいよ耐え難くなったのが今年に入ってすぐでした。寝ても覚めても痛い。左のお尻、太もも、膝、脛……左脚全体がうずくような痛みで、処方されたロキソニンの湿布薬も痛み止めの飲み薬も効かなくなっていました。

 ステージに立っていられないほどになったので手術覚悟で病院を探し、整形外科クリニックから大学病院を紹介してもらいました。医師には「まだ使えないことはないけど、どうする?」と言われたのですが、良くなることは絶対にないし、すでに覚悟はできていたので手術を希望したというわけです。

 手術は、大腿骨頭を切断し寛骨臼を削り、人工股関節を取り付ける「人工股関節置換手術」というものです。出血量も多いということで、手術1カ月前に「貯血式自己血輸血」のための血液400ミリリットルを採血しました。

 何がつらかったかって、麻酔から目覚めると両脚がベルトで固定されていて24時間動けない状態だったことです。でも、世の中にはもっと大変な病気と闘っている方が大勢いらっしゃいます。そのような方々に比べたら私は楽なほうだとは思います。看護師さんに寝返りをお願いしても1分もしないうちに痛くなって元に戻してもらわなくちゃならなかったり、輸血や点滴、尿管、太ももから血液を出す管などにつながっているのも嫌な感じでした。

 翌日からリハビリが始まり、初日は車いすに乗る練習、2日目には平行棒で歩く練習、3日目には歩行器で歩き、4日目には杖、そして階段……とリハビリは痛かったけど頑張りました。おかげさまで、リハビリの先生からは回復が早いと言っていただけましたよ。

 2週間の入院でしたが、ちょうど真ん中あたりで外出届を出して、宮城県仙台市のステージにも立ちました。

 いつもなら着付けも髪のセットもすべて自分でやるのですが、この日ばかりはヘアメークさんにお願いして、ステージ上では固定した車いすに膝裏をぴったりつけて、立って歌いました。着物を着て立っているだけでしんどくて、手術でどれだけ体力が奪われるのかを実感しました。

■靴下がはけるだけでこんなにうれしいんだ

 まだ退院して3カ月足らずですが、杖を突かずに歩けるようになりました。リハビリに行くたびに新たなストレッチを教えてもらい自宅でも励んでいます。移動が長くて座りっぱなしだったりすると腰痛になったりしますが、今のところは順調な回復です。

 昔の人工股関節は耐用年数が15年ぐらいだったといいますが、今は材質や加工技術が改良されて半永久とはいえないまでも相当長く使えそうです。一番やってはいけないことは「転倒」です。もしも転んで股関節が外れたら数人で引っ張ってはめ直すそうで、激痛が伴うそうですよ。それから女性がよくする“横座り”がダメ。正座はいいのですが、股関節が内側に入る姿勢はいけないのだそうです。

 さらに、膝を胸に近づける“体育座り”もNG。だから爪切りや靴下をはくときは、男性のように股関節を外側に開いたあぐらのような姿勢が基本です。術後はじめて靴下がはけたときは感動しました。股関節をあまり曲げられないので手が届かない中、マジックハンドのような補助具を使ってでしたけれど、靴下がはけるだけでこんなにうれしいんだと思いました。ともすれば忘れがちなことですけれど、今回改めて何げない日常生活への感謝を教えられました。そして、周囲の人の優しさに触れたことが大きな収穫でした。

 17年前に脳内出血で右半身麻痺になって車いす生活を送っている主人の気持ちや大変さも少し分かった気がします。

 実は入院中にステージに立ったときの車いすは、主人にお願いして借りた電動車いすでした。何度か乗ったことがあったので扱い方はお手のもの。ステージを所狭しと走り回って、お客さまに笑っていただきました。

 お客さまの中にも人工股関節置換手術をした先輩方が意外と多くて、アドバイスをいただいたり、「勇気が出ました。手術します」という声もありました。共有できるいい話題になっています。ネタとしても「このたび、手術しました。顔じゃありませんよ。整形ではなく整形外科の手術をいたしました」なんて言って、みなさんに笑っていただいています。

(聞き手=松永詠美子)

▽島津悦子(しまづ・えつこ)1961年、鹿児島県生まれ。88年にデビューし、91年に「紙の舟」で日本有線大賞・有線音楽賞受賞。「ジャパンフェスティバル2012イン・ロンドン」に演歌親善特別大使として参加。ラジオ「島津悦子の歌謡ナビゲーション」(MRO北陸放送)を担当し、12月20日(金)には、ホテル日航金沢(石川県)でクリスマス&バースデーディナーショーを開催する。最新曲「瀬戸内ぐらし」が好評発売中。

最終更新:11/18(月) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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