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【思い出のGIレース=2006(平成18)年「ジャパンカップ」】忘れられないディープ勝利後の「スタンドの異様な雰囲気」

11/18(月) 21:45配信

東スポWeb

 最も記憶に残る勝利──GIをひとつしか勝っていない馬なら迷うことはないが、複数回の優勝がある馬はその選択に迷う。トウカイテイオーなら無敗での2冠制覇となったダービーか、それとも1年ぶりで勝った有馬記念での二択で悩むところだろう。もっとも、記者のベストレースはそのどちらかではなく、あの岡部からガッツポーズが飛び出したジャパンカップ。日本馬の勝利が難しかった時代に辛酸をなめたエリートホースが復活──。あの瞬間の興奮は時間が経過しても色あせぬものがある。

 では、ディープインパクトのそれは? 多くのファンが選ぶのは日本ダービー、もしくは菊花賞だろうか。有終の美を飾った引退レースの有馬記念、無念の結果に終わった凱旋門賞を挙げる方もいるかもしれない。

 だが、この歴史的な名馬が制した7つのGI勝利のうちの6つをライブ観戦(現地で見ていない唯一のレースは皐月賞)し、天皇賞・春を除く5つのレースで後記を書く幸せに恵まれた記者のベストレース──最も記憶に残る勝利と表現すべきだろうか。それが2006年のジャパンカップだ。

 GIは6勝目。2着ドリームパスポートとの着差は2馬身。視覚的なレベルで言えば、これよりも衝撃的な一戦はいくつも挙げられる。だが、あの日のスタンドの雰囲気──ディープインパクトのレースは常にとてつもないものを見れるかもしれないという高揚感、期待を裏切らない彼への賛辞と興奮に包まれていたものだが、あのレースのあとだけは違った。

 前走の凱旋門賞は3着入線→失格と出走自体を“なかったこと”にされ、着地検疫を東京競馬場で行った(天皇賞・秋に出走意欲を見せたため)のも異例中の異例。ディープインパクトは本当に大丈夫なのか?の思いは、誰もが持っていたと思うのだ。

「フランスのことがあったのに変わらず応援してくれた」とレース後のテレビ会見で語った武豊。スタンド前の表彰式が終わったあと、記者が感じた感想について聞いてみると「確かに今日のスタンドの雰囲気は少し違ったね。熱気がすごいのはいつものことなんだけど、ちょっと異様な雰囲気というか、これまでのディープのレース後とは違うものを感じた。ファンも自分たちと同じような思いだったのかな」とうれしそうにポツリ。あの表情も永遠に忘れないだろう。

 映像では伝わらない、あの日の東京競馬場にいた人間にしか理解できない特別な“何か”があったレース。それがあのジャパンカップを記憶に残るレースへと押し上げている気がする。

(大阪スポーツ本紙担当・松浪大樹)

最終更新:11/19(火) 22:00
東スポWeb

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