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MRIで乳がん早期発見 着衣のまま痛みもなし

11/18(月) 11:42配信

山陽新聞デジタル

 乳がんは女性のがんの中で最も患者数が多い。早期発見して治療を受ければ、軽快して仕事や子育てに戻れる可能性が高いが、エックス線で乳房を調べるマンモグラフィーなどの検診受診率は50%に満たない。女性のがん検診・治療に力を入れている岡山中央病院(岡山市北区伊島北町)は今年8月から、岡山県内で初めて、痛みのないMRI(磁気共鳴画像装置)による乳がん検診を導入した。マンモグラフィーの苦痛を嫌って検査をためらっている女性たちに、受診を呼び掛けている。

 無痛MRI乳がん検診は、東海大学の高原太郎教授(放射線科専門医)が開発したDWIBS(ドゥイブス)という撮影法を用いて行われる。MRIのベッドに乳房の形にくりぬいたパッドを載せ、受診者はTシャツなどの薄い服を着たまま、うつぶせに寝て検査を受ける。撮影時間は十数分。受け付けや着替えの時間を含めても30分程度の短時間で終わる。

 岡山中央病院では、これまでに約100人が受診。既に数人の乳がんの疑いのある人が見つかっている。いずれも、がんと確定しても早期だろうという。

 MRIは磁石が発する磁気と電波によって体内の画像を撮影する。ドゥイブス法のがん検診は、電磁波が水分子の運動に反応することを応用する。急速に増殖するがん細胞は、正常な細胞に比べ、ぎゅうぎゅうに詰まった状態になる。そのため、水分子はがん細胞の中では自由に動けず、速度(拡散)が遅くなる。その違いを強調して描き出した「拡散強調画像(DWI)」で、がん細胞の集まりを見つけようというわけだ。

 マンモグラフィーによる検診では、板状のプレートで乳房を挟んで平たく伸ばして撮影する。人によって強い痛みを感じ、服を脱いで乳房を露出しなければならないため、恥ずかしさから忌避する人もいる。無痛MRIは乳房を圧迫せず、裸を見せる必要もない。

 さらに、乳腺が発達している「高濃度乳房」の検診でもMRIが有利だ。乳腺組織が白く写るマンモグラフィーでは乳房全体が白く見え、がんも同じように白く写るので「雪山の白ウサギ」を探すような状態になる。ドゥイブス法は乳腺濃度の影響を受けにくく、高濃度乳房でも高い精度でがんを見つけることが期待できる。

 40歳以上の女性は市町村の住民検診などで2年に1度、少額の負担でマンモグラフィーを受けられる。しかし、15歳から39歳の若い女性(AYA(アヤ)世代)は集団検診の対象にならず、しかも高濃度乳房の人が多い。そのため、AYA世代の乳がんは進行した状態で見つかることがしばしばで、治療が困難になる。

 高原教授は「マンモグラフィーも受けていただきたいが、嫌な人にはドゥイブス法の検査もある。一度も乳がん検診を受けていない若い女性に知ってほしい」と望む。

 放射線被ばくの心配がないことも、MRIを使うドゥイブス法の利点。マンモグラフィーはエックス線を照射するため、少量の被ばくがある。ドゥイブス法と同様、全身のがんを調べることができる検査としてPET(陽電子放射断層撮影)もあるが、放射線を発する検査薬を注射するため、ある程度の被ばくは避けられない。

 40歳から69歳を対象に調べた乳がん検診受診率(国民生活基礎調査)は2016年で全国44.9%。岡山県も47.4%にとどまっている。人間ドックなど任意の検診を含めても半数以上の人が検診を受けていないことを示し、早期発見のためにも受診率の向上が大きな課題になっている。

 岡山中央病院の無痛MRIは任意検診の扱いで、2万円近い費用は自己負担となる。しかし、金重総一郎院長は「ドゥイブス法で撮影してきれいな状態なら、しばらく受診間隔をおいても大丈夫だろう。十分メリットがあると思う」と話している。

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最終更新:11/18(月) 11:42
山陽新聞デジタル

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