ここから本文です

LINE経営統合に向かう理由の1つは「PayPayが勝っても儲からない」からだ【ヤフー・LINE経営統合】

11/19(火) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

「ヤフーとLINEの経営統合」が正式に発表された。両社は18日17時から都内で記者会見を開く見込みだ。

【全画像をみる】LINE経営統合に向かう理由の1つは「PayPayが勝っても儲からない」からだ【ヤフー・LINE経営統合】

「決済分野での先行投資が響いて赤字転落し、先行きの不透明なLINEの救済合併」

「1億人市場を総取りしたいヤフー親会社ソフトバンクを率いる孫正義氏の野望」

など、噂の背景を分析する話はいろいろ出ている。

また、LINE社は今後、共同公開買い付けの実施により非上場化する方針も公表されている。

事態が突然大きく動き始めた形だが、今回は筆者の専門分野である「スマホ決済」の視点からみた、「統合へと力が働く重要な理由」を紹介したい。

キャッシュレスの勝ち筋が見えてきた……数の上では

QRコードやバーコードを使ったスマートフォン上でのアプリ決済サービスは数多登場し、これからもまだ登場が見込まれている。しかし、決済業界からの目線では、「もはや投資に見合ったリターンはほぼ得られない」と考える人が増えている(筆者もそのひとりだ)。

優劣でいえば、膨大なキャンペーン予算と営業リソースをつぎ込み、地方都市の小さな商店でさえ「現金以外でPayPayなら支払える」という状況が生まれつつある。

スマホ決済は大手チェーンを中心に全国へ一気に広がったが、個人商店や地方スーパーなど、加盟店開拓に時間や人員を必要とする場所には、まだそれほど広がっていない。その点をクリアしつつあるPayPayが、キャッシュレス普及の壁を一定程度乗り越えたという感覚は、都市部以外の状況を見ている方ならわかるだろう。

「現状のPayPayはマネタイズ方法が乏しい」理由

さて、このPayPayの最大の問題は、ショッキングに聞こえるかもしれないが「現状では実質的にマネタイズ方法が乏しい」という点だ。

同社は店舗のカウンターに置くQRコードを加盟店に配布しているが、これを使った場合の決済手数料は2021年9月30日まで無料となっている。従来のクレジットカードや電子マネーのようなビジネスモデルであれば、ここで「インフラを整備したので、後は手数料を上げて定期収入にしよう」と考えるのかもしれない。

だがPayPayには手数料を上げられない事情がある。全国の複数のPayPay加盟店に聴き取りを行っていたところ、「導入して決済されても手数料はかからないし、気に入らなかったらいつでも辞めていい」という考えでPayPayに対応した店舗が少なからず存在することだ。

つまり、手数料無料期間中にPayPay目当てにお客が来れば儲けもので、値上げ後に集客効果がないと判断したら利用を止めるだけでいいということで、手数料無料期間と同時に一気に加盟店が離れる危険性がある。

同件について、以前にPayPayの馬場一氏(取締役副社長執行役員COO兼営業統括本部長)に尋ねたところ「(手数料は)悪いようにはしません」という含みのある返答が戻ってきた。いろいろな意味にとれる言葉だが、PayPayとしてもまだ判断しかねている状況だと筆者は判断する。

PayPayは膨大なリソースを投入して、同業者では最大規模の加盟店網を構築した。それをみすみす手放すとは考えられず、「PayPayは今後も手数料を上げられないし、そこから収益を得たとしても極めて限定的」というのが筆者の推論だ。

現状で手数料として得られているのは、例えばAirペイのような複数の決済方式を一括で小売店に提供するタイプのサービス(※ただし、店舗でAirペイを導入したあるユーザーによると、現状でPayPayはまだ利用できないという)、あるいは「ゲートウェイ」と呼ばれる包括契約で複数の決済手段を提供するサービスが徴収する「手数料」を分配する収入に限られると筆者は見ている。

1/3ページ

最終更新:11/19(火) 8:10
BUSINESS INSIDER JAPAN

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事